40代・50代、おひとりさま・家族を頼れない人の「もしもの時リスト」――病気・入院・失業・住まい・お金をどう備える?

40代、50代になると、少しずつ「もしもの時」が現実味を帯びてきます。

もし病気になったら。

もし入院したら。

もし仕事を失ったら。

もし今の家に住み続けられなくなったら。

もしお金が足りなくなったら。

家族を頼れる人なら、「困ったら実家へ」「入院したら家族に来てもらう」という選択肢があるかもしれません。

でも、すべての人がそうではありません。

おひとりさまだから。

家族が遠方にいるから。

家族関係に事情があるから。

親も高齢だから。

住んでいる地域の事情で、実家に戻っても必要な医療や福祉サービスを利用しにくいから。

理由は人それぞれです。

だから私は、

「家族を頼れないなら、一人で何とかする」

ではなく、

「家族以外にも助けてもらえる道を、元気なうちにいくつか作っておく」

という考え方が大切だと思っています。

この記事では、いざという時に何を確認すればいいのかを、一つずつ整理します。

まず作りたい「もしもの時リスト」

最初から完璧な終活ノートを作る必要はありません。

スマートフォンのメモでも、紙一枚でも大丈夫です。

まず、次の情報を一か所にまとめておきます。

  • かかりつけ医と医療機関
  • 現在飲んでいる薬
  • 健康保険の情報
  • 緊急時に連絡できる人
  • 勤務先
  • 利用している医療・福祉サービス
  • 自治体の相談窓口
  • 保険会社
  • 銀行や主な支払い先
  • 大切な契約
  • 困った時に最初に連絡する場所

全部そろわなくても構いません。

「体調が悪い時に、一から探さなくてもいい」状態を作るだけでも大きな備えです。

もし1.病気になったら

まず考えたいのが、病気でしばらく仕事を休むことになった場合です。

普段元気なときには、

「少しくらい休んでも何とかなる」

と思いがちです。

でも長期間になると、

収入。

家賃。

医療費。

食事。

通院。

仕事への復帰。

いろいろな問題が同時に出てきます。

だから元気なうちに、

「私は病気になったら、どこに相談する?」

を決めておきます。

まずは勤務先の休職制度や健康保険の給付など、自分の働き方で利用できる制度を確認します。

同時に、生活全体が不安になった場合には、市区町村などの生活困窮者自立支援制度の相談窓口があります。

厚生労働省によると、この制度では生活の困りごとを聞き、本人と一緒に支援プランを作ります。仕事、住まい、家計などを別々ではなく、状況に応じて組み合わせて支援する仕組みです。

難しい名前ですが、

「生活のどこから立て直せばいいか分からないときの総合相談口」

くらいに覚えておけば十分です。

もし2.入院することになったら

一人暮らしで意外と困るのが入院です。

病気そのものだけではありません。

入院中の家。

郵便物。

公共料金。

ペット。

仕事への連絡。

必要なものを持ってきてくれる人。

退院後の生活。

こうしたことがあります。

まず、入院時には病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や相談窓口が使える場合があります。

「退院後、一人で生活できるか不安」

「医療費が心配」

「利用できる制度が分からない」

といったことを相談できます。

家族がいないことや、頼れる人が少ないことも隠す必要はありません。

むしろ早めに伝えておいたほうが、

退院後の生活まで含めた支援を考えてもらいやすくなります。

そして自宅側では、入院前から最低限、

「郵便物をどうする」

「家賃や公共料金は自動引き落としになっているか」

「ペットがいるなら誰に頼むか」

なども決めておくと安心です。

もし3.仕事を失ったら

次は失業です。

40代、50代になると、

「この年齢で仕事を失ったら、もう次はないかもしれない」

という不安も出てきます。

でも、失業したら最初にすることは、

「何でもいいから急いで次の仕事を探す」

だけではありません。

まず、使える制度を確認します。

雇用保険。

ハローワーク。

中高年向けの就職支援。

職業訓練。

そして生活が苦しくなる場合には、生活困窮者自立支援制度です。

厚生労働省の制度には、すぐ一般就労するのが難しい人向けの就労準備支援事業や、本人に合った作業機会から一般就労を目指す就労訓練事業もあります。

つまり、

「明日からフルタイム正社員で働けないなら支援対象外」

ではありません。

働く準備から必要な人のための仕組みもあります。

ここは、自分を責める前に知っておきたいところです。

もし4.家賃が払えなくなったら、住む場所を失いそうになったら

生活の中で、最も守りたいものの一つが住まいです。

仕事を失う。

収入が減る。

病気で働けない。

すると、家賃が急に大きな負担になります。

厚生労働省の住居確保給付金では、離職などによって住居を失った、または失うおそれが高い人について、収入や資産など一定の要件を満たす場合、原則3か月、延長すると最大9か月まで家賃相当額を支給する仕組みがあります。

さらに制度改正により、家計改善のために家賃の安い住宅へ転居する必要がある場合、条件を満たせば転居費用の支援も行われるようになっています。

つまり、

「家賃が払えなくなったら退去するしかない」

と、すぐに決める必要はありません。

住まいに不安が出た段階で相談することが大切です。

本当に家賃を払えなくなってからではなく、

「来月から厳しそう」

という段階で相談していいのです。

もし5.お金が回らなくなったら

お金についても同じです。

生活が苦しくなってくると、

何から払えばいいのか分からなくなることがあります。

家賃。

電気。

カード。

税金。

医療費。

保険。

返済。

頭の中だけで考えると、どんどん怖くなります。

厚生労働省の生活困窮者自立支援制度には、家計改善支援事業があります。

家計状況を見える化して、問題を整理し、必要に応じて他の支援機関などへつなぐ仕組みです。

難しく言えば「家計改善」。

普通の言葉でいえば、

「今あるお金と支払いを一緒に並べて、どこから立て直すか考えてくれる」

ということです。

家計相談を、

「お金の使い方を怒られる場所」

と思わなくていい。

生活を止めないための相談です。

年金も「将来のもしも」の一つ

40代、50代なら、老後も「もしも」ではなく、少しずつ現実になってきます。

でも、

「老後資金が足りないかもしれない」

と不安になるだけでは対策ができません。

日本年金機構のねんきんネットでは、自分の年金記録を確認したり、条件を変えて将来受け取る老齢年金の見込額を試算したりできます。

まずは、

「このまま働いたら、どのくらい?」

を知る。

そして、

住居費。

貯金。

働く期間。

毎月使える金額。

を考えます。

大きな「老後不安」を、

具体的な数字に変えていく。

これも40代、50代からできる備えです。

「自分で判断できなくなったら」も考えておく

もう少し先の話もあります。

病気や障害、認知機能の低下などによって、

福祉サービスの手続き。

お金の管理。

書類の確認。

などを一人で行うことが難しくなる場合があります。

厚生労働省には日常生活自立支援事業があります。

これは認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が十分ではない人が地域で生活できるよう、本人との契約に基づき、福祉サービスの利用援助などを行うものです。窓口業務は市町村の社会福祉協議会などで行われています。

誰でも今すぐ使える制度ではありません。

でも覚えておきたいのは、

「自分で全部できなくなったら、家族がいないと終わり」ではない

ということです。

支援の仕組みがあります。

高齢になったら「地域包括支援センター」を覚えておく

さらに年齢を重ね、介護や高齢期の生活について困った場合の代表的な相談先が、地域包括支援センターです。

厚生労働省は、地域包括支援センターを地域包括ケアの中心的な機関として位置づけており、高齢者の相談、介護予防、権利擁護などを担っています。

これは、

「子どもが老後の相談を全部する」

以外にも地域の入口があるということです。

40代、50代の今から、

「将来はここに相談できるんだ」

と名前だけでも知っておくといいと思います。

「一人で暮らす」と「孤立する」は違う

そして最後に、お金や制度だけでは足りない備えがあります。

人とのつながりです。

といっても、

「友達をたくさん作ろう」

という話ではありません。

月に一度連絡する人。

職場で話せる人。

病院。

福祉サービス。

美容院。

近所のお店。

趣味の集まり。

オンラインコミュニティ。

そういう細いつながりを複数持っておく

政府も孤独・孤立を社会的な課題として扱い、2026年も「一人で悩まず相談すること」や、ゆるやかなつながりを持つことを呼びかけています。

一人暮らしは孤立ではありません。

家族と暮らしていても孤立することはあります。

重要なのは、

困ったときに外へつながる道があるかどうか

です。

今日作れる「もしもの時メモ」

ここまでたくさん書きましたが、全部を今日準備する必要はありません。

まずスマートフォンに、

「もしもの時」

というメモを一つ作ってみてください。

そして今日は、

①かかりつけ医②緊急連絡先③自治体の生活相談窓口

この3つだけ入れます。

余裕のある日に、

勤務先。

薬。

保険。

銀行。

家賃。

福祉サービス。

などを追加します。

これだけでも、昨日より一つ備えが増えています。

まとめ|「もしも」をゼロにはできない。でも、出口は増やせる

病気になるかもしれない。

仕事を失うかもしれない。

家に住めなくなるかもしれない。

お金に困るかもしれない。

年齢を重ねれば、避けられないこともあります。

でも、

何かが起きたときの出口を、あらかじめいくつか作っておくことはできます。

医療。

行政。

福祉。

仕事の支援。

住まいの支援。

家計相談。

社会福祉協議会。

地域包括支援センター。

そして、人との細いつながり。

一つの大きな家族にすべてを頼るのではなく、

小さな支えをいくつも持っておく。

これが、家族を頼れない人の「もしもの時リスト」なのだと思います。

完璧な備えを作らなくてもいい。

今日、相談先を一つ登録する。

来月、ねんきんネットを見る。

余裕がある日に家計を整理する。

そうやって、

「何かあったら終わり」から、「何かあったら、まずここへ相談しよう」へ。

人生を一つずつ、安心できる形に組み直していく。

これからを、わたしから。

※制度には収入・資産・年齢・地域などの利用条件があり、内容も変更されます。記事末には「制度利用時は厚生労働省やお住まいの自治体で最新情報をご確認ください