40代、今の仕事をあと10年続けられる?――「社会的弱者」になってしまったときも、働き方を組み直す5つの方法
40代になると、ときどき考えることがあります。
「この働き方を、あと10年続けられるだろうか」
仕事そのものが嫌いなわけではない。
働きたい気持ちもある。
けれど、以前のように無理がきかなくなった。
疲れが翌日に残る。
人間関係に消耗する。
仕事の責任が重くなった。
給料はそれほど増えない。
体調を崩すと、一気に生活が危うくなる。
それでも、
「40代で転職なんて難しい」
「正社員を辞めたら終わり」
「収入を下げたら老後が怖い」
と思うと、今の場所から動けなくなります。
特に、就職氷河期を経験してきた人にとって、
「仕事を失う怖さ」
は、単なる転職への不安ではないのかもしれません。
仕事がなかった時代を知っている。
正社員になれなかった経験がある。
非正規から抜けられなかった。
低賃金でも辞められなかった。
ブラックな職場でも「次がない」と思って耐えた。
そんな経験があれば、
「せっかく今ある仕事を手放してはいけない」
という気持ちが身体のどこかに残っていても不思議ではありません。
でも、ここで一つ考えてみたいのです。
仕事を続けることと、今の働き方を続けることは、同じではありません。
40代から必要なのは、
「あと10年耐える方法」ではなく、
「あと10年働ける形に組み直す方法」
なのかもしれません。
「社会的弱者になる」というのは、突然起こることがある
「社会的弱者」という言葉を聞くと、
自分とは遠い人の話に感じるかもしれません。
でも実際には、その境界線は思っているほど遠くありません。
病気になる。
障害が分かる。
離婚する。
仕事を失う。
親の介護が始まる。
収入が下がる。
長期間働けなくなる。
家族との関係が悪化する。
住まいを失う。
こうしたことが一つ起きただけなら、なんとか乗り越えられることがあります。
ところが、
病気+失業+貯金が少ない+家族を頼れない
というように複数の問題が重なると、一気に選択肢が減ります。
ここでいう「社会的弱者」とは、
「能力の低い人」
という意味ではありません。
社会の中で使える選択肢や安全網が少なくなっている状態
と考えたほうが分かりやすいと思います。
だから、それは誰にでも起こり得ます。
そして重要なのは、
社会的に弱い立場になったからといって、人生そのものまで終わるわけではない
ということです。
必要なのは、以前と同じ方法で頑張ることではありません。
使える制度や支援を増やし、
働き方を変え、
生活費を調整し、
自分一人に集中していた負担を外へ分散させることです。
1.「辞めるか」より先に「何がつらいのか」を分解する
「仕事を辞めたい」
と思ったとき、
いきなり退職するかどうかを考えなくても構いません。
まず、
何を辞めたいのか
を分けます。
仕事そのもの?
長時間労働?
週5日勤務?
通勤?
人間関係?
上司?
苦手な業務?
責任の重さ?
残業?
接客?
朝の早さ?
実は、
「仕事を辞めたい」
のではなく、
今の働き方の一部分を辞めたい
場合があります。
たとえば、
週5日フルタイムが限界なら週4日にする。
苦手な業務を外してもらう。
残業を減らす。
部署を変える。
勤務開始時間を変える。
責任の重い役割から外れる。
それだけで続けられることもあります。
40代からは、
100点の働き方を続けることより、70点でも10年続けられる働き方
のほうが価値を持つことがあります。
2.「収入を下げない」より「働けなくならない」を優先する
これは少し怖い考え方かもしれません。
たとえば、
月20万円もらえるけれど、毎日限界。
という仕事と、
月17万円だけれど、余力が残る仕事。
どちらがいいでしょう。
単純な給料だけなら20万円です。
年間なら36万円違います。
でも、前者を続けて心身を壊し、半年間働けなくなったら?
そこで初めて、
給料の高さと、生涯で受け取れる収入は同じではない
ことに気づきます。
40代からは、
「今月いくら稼げるか」
だけでなく、
「この働き方を何年続けられるか」
も考えたいところです。
これは逃げではありません。
働く期間を長くするための調整です。
3.病気や障害があるなら「普通に働く」だけを正解にしない
ここは「わたしから。」で、これから丁寧に扱っていきたいテーマです。
病気や障害があっても、
「みんなと同じように働かなければ」
と思ってしまうことがあります。
でも、必要な配慮を受けながら働くという方法があります。
障害者雇用。
合理的配慮。
就労移行支援。
就労定着支援。
障害者就業・生活支援センター。
ハローワークの専門窓口。
さまざまな仕組みがあります。
厚生労働省によれば、障害者就業・生活支援センターでは、就職に向けた準備支援や職場定着などの就業面だけでなく、生活習慣や健康管理など生活面も含めた一体的な支援が行われています。
ここが重要です。
仕事だけを見るのではありません。
なぜなら、働き続けられない原因が、
仕事そのものではなく、
生活。
体調。
通院。
家事。
金銭管理。
人間関係。
などと絡んでいることがあるからです。
40代になってから障害や特性が分かった人もいます。
その場合、
「今さら支援を使うなんて」
と思うかもしれません。
でも支援は、
若い人だけが人生を立て直すためのものではありません。
40代から使ってもいいのです。
4.「正社員でなければ失敗」という考えから一度離れてみる
就職氷河期世代には、
「正社員にならなければ」
という感覚が強く残っている人もいると思います。
それには理由があります。
正社員になれないこと自体が、
本人の努力不足のように扱われた時代がありました。
だから、やっと正社員になれた人ほど、
その肩書きを手放すのが怖くなることがあります。
でも40代からは、
肩書きだけではなく、
生活全体を見る
必要があります。
正社員。
契約社員。
派遣。
パート。
短時間勤務。
在宅。
副業。
障害者雇用。
それぞれにメリットとデメリットがあります。
もちろん、社会保険や収入、雇用の安定性は重要です。
「パートになれば全部解決」という話でもありません。
ただ、
正社員という肩書きを守るために心身を壊してしまうなら、別の形を一時的な橋として使う
という考え方もあります。
人生は一度雇用形態を変えたら、そこで固定されるわけではありません。
少し働き方を軽くする。
回復する。
生活を整える。
勉強する。
そして、また働き方を変える。
そんな道もあります。
5.「一人で生きられる人」ではなく「一人で抱えない人」を目指す
家族を頼れない人ほど、
「自分で何とかしなければ」
と思います。
仕事。
お金。
病気。
住まい。
老後。
全部自分で管理する。
でも、これはかなり大変です。
前の記事で、仕事を辞める前に、
お金・制度・仕事の3つの逃げ道
を作ろうと書きました。
ここに、もう一つ加えたいものがあります。
人とのつながりです。
それは必ずしも家族でなくていい。
医療機関。
行政。
相談支援。
ハローワーク。
社会福祉協議会。
就労支援。
友人。
訪問支援。
地域の相談窓口。
必要なときにつながれる場所を、少しずつ増やします。
厚生労働省の生活困窮者自立支援制度も、仕事、住まい、家計など、生活上の複数の問題を抱える人を支援する仕組みです。
つまり、
「全部自分で解決できなくなったら終わり」ではありません。
自分の外側に、生活を支える柱を作ることができます。
社会的弱者になったら、「頑張って元に戻る」だけが答えではない
病気になる前。
失業する前。
離婚する前。
心身を壊す前。
「あのころの自分に戻らなければ」
と思うことがあります。
でも、
戻らなくてもいいのかもしれません。
以前は週5日働いていた。
今は週4日。
以前より収入は少ない。
でも、体調は安定している。
以前は一人で全部していた。
今は制度や支援を使っている。
以前より助けてもらっている。
でも、生活は続いている。
それも、
人生を立て直した姿
だと思います。
「自立」を、
何でも一人でできること、
と考えると苦しくなります。
本当の自立は、
必要なときに、必要なものを使いながら、自分の生活を続けられること
なのかもしれません。
40代からは「年収」だけで仕事を選ばない
転職サイトを見ると、
年収。
休日。
福利厚生。
勤務地。
いろいろな条件があります。
もちろん全部大切です。
でも40代からは、もう一つ条件を追加してもいいと思います。
「この仕事をした日の夜、私はどれくらい残っている?」
です。
帰宅したら何もできない。
休日は寝るだけ。
仕事の前日は怖くなる。
食事も入らない。
眠れない。
毎朝吐き気がする。
そうなっているなら、
給与明細には載らないコストを払っている可能性があります。
反対に、
給料は少し下がった。
でも帰宅してご飯を食べられる。
休日に散歩できる。
好きなことができる。
病院へ行ける。
眠れる。
それなら、
人生全体ではプラスかもしれません。
仕事は、
人生そのものではなく、生活を支える一部分
だからです。
「あと10年」を考えるとき、一気に10年考えない
あと10年。
そう考えると長すぎます。
だから、
まず1年。
もっと短く、
次の3か月
を考えます。
この3か月で、
残業を一つ減らせる?
生活防衛資金を3万円増やせる?
一つ相談先を見つけられる?
求人を10件見る?
苦手な仕事について相談する?
病院で働き方について話してみる?
それでいいのです。
人生を組み直すとき、
全部同時に変える必要はありません。
今日やるなら「仕事の体力診断」をする
スマートフォンのメモに、次の5つを書いてみます。
- 今の仕事をあと3年続けられそう?
- 一番つらいのは何?
- それを一つ減らす方法はある?
- 収入が少し下がっても楽になる働き方はある?
- 今の職場を離れたとき相談できる場所を一つ知っている?
全部答えられなくても構いません。
一つ、
「ここが問題なんだ」
と分かれば十分です。
そこが、働き方を組み直す入口になります。
まとめ|40代からは「頑張れる仕事」ではなく「続けられる仕事」を探していい
40代になると、
体力。
健康。
家族。
お金。
老後。
いろいろなものを抱えながら働くことになります。
さらに、
病気。
障害。
失業。
低収入。
家族を頼れない事情。
それらが重なると、社会の中で選べる道が少なくなることがあります。
そんなとき、
「もっと頑張って普通に戻らなければ」
と思わなくていい。
まず、
今の仕事の何がつらいのかを分ける。
働く時間を調整する。
収入だけでなく継続できるかを見る。
制度を使う。
支援につながる。
必要なら雇用形態を変える。
一つずつ、
自分が続けられる形へ組み直していく。
それでいいのだと思います。
就職氷河期を生きた私たちは、
「仕事があるだけありがたい」
「辞めたら次はない」
「選ばなければ仕事はある」
そんな言葉を、何度も聞いてきました。
だからこそ、
仕事を手放すことに人一倍恐怖を感じる人もいるでしょう。
でも45歳の自分が、
25歳のころと同じ働き方を続けなければならない理由はありません。
20年前には知らなかった制度もある。
使っていなかった支援もある。
これまで積んできた経験もある。
そして、
「もう無理な働き方を選ばない」という選択もできる。
40代からの仕事選びは、
社会に自分を合わせ続けることだけではありません。
自分が生き続けられる形に、仕事のほうを合わせていく。
収入が少し減っても。
支援を使っても。
正社員という一本道から外れても。
人生そのものが続いていくなら、それは失敗ではありません。
私たちが目指したいのは、
「何があっても一人で生きられる強い人」ではなく、
何かあったときにも、制度、人、お金、仕事を組み合わせて暮らしを続けられる人。
なのかもしれません。
人生の途中で社会的に弱い立場になってしまったとしても、
そこから作り直せるものはあります。
仕事も。
お金も。
暮らしも。
これからの生き方も。
一度に全部ではなく、
一つずつ。
これからを、わたしから。