40代、「生活保護になる前に何とかしたい」――“まだ大丈夫”と“もう限界”の間で使える制度を順番に整理する
生活が苦しくなってきた。
でも、まだ仕事はしている。
家もある。
貯金も少し残っている。
だから、
「私はまだ、支援を受けるほどではない」
と思ってしまうことがあります。
生活保護という言葉が頭に浮かんでも、
「そこまでではない」
「もっと大変な人が使うものだ」
「自分は働いているから違う」
と、そこで考えるのをやめてしまう。
でも、本当に大切なのは、
生活が完全に崩れてから助けを求めることではありません。
むしろ、
「このままいくと危ないかもしれない」
という段階で、一つずつ手を打つことです。
厚生労働省の生活困窮者自立支援制度も、まさにそうした人を支えるための仕組みです。生活に困りごとや不安がある場合、地域の相談窓口で支援員が話を聞き、本人と一緒に必要な支援を整理し、具体的な支援プランを作ります。仕事、住まい、家計などを横断して相談できます。
つまり、
「生活保護になる前に相談していい制度」は、ちゃんとあります。
今回は、生活が崩れ始めたときに、どの順番で何を確認すればいいのかを整理します。
- 「まだ大丈夫」が一番こわいこともある
- 第1段階|まず「最低生活費」を出す
- 第2段階|まだ働けているうちに「仕事を軽くできないか」考える
- 第3段階|仕事もお金も住まいも不安なら「自立相談支援機関」
- 第4段階|家賃が危なくなったら「住居確保給付金」
- 第5段階|家計が回らないなら「家計改善支援」
- 第6段階|すぐにお金が必要なら「貸付制度」という選択肢もある
- 第7段階|仕事を失った・働けないなら「職業訓練」もある
- 「まだ働いている人」も支援につながれることがある
- 「まだ貯金がある」も、相談しない理由にしなくていい
- そして、本当に生活が成り立たなくなったら「生活保護」を避けることだけを目標にしない
- 「生活保護になる前に」ではなく「生活を壊さないために」
- 40代だからこそ「ゼロになる前」に動く
- 自分の状態を3色で見てみる
- 今日やることは「制度を全部調べる」ではない
- まとめ|「まだ大丈夫」のうちに、制度を使っていい
「まだ大丈夫」が一番こわいこともある
生活が苦しくなり始めたとき、人は意外と動きません。
たとえば、
貯金が30万円ある。
今月の家賃は払える。
クレジットカードもまだ使える。
仕事も辞めていない。
だから、
「来月考えよう」
と思います。
でも、その間にも、
体調が悪化する。
欠勤が増える。
給料が減る。
カード利用額が増える。
リボ払いを使う。
家賃や公共料金が少しずつ遅れる。
ということが起こります。
そしてある日、
「もう今月が払えない」
になります。
だから私は、
「何も失っていないから相談しない」
ではなく、
「まだ失っていないうちに相談する」
という考え方を持っておきたいと思っています。
第1段階|まず「最低生活費」を出す
最初にやることは、制度探しではありません。
「私は月いくらあれば暮らせる?」
を出します。
家賃。
食費。
水道光熱費。
通信費。
医療費。
交通費。
保険。
返済。
最低限の日用品。
細かくなくていいので、ざっくり合計します。
たとえば、
最低生活費が15万円。
今の手取りが17万円。
なら、余裕は2万円。
でも、欠勤が増えて手取りが14万円になったら、月1万円の赤字です。
このとき初めて、
「私はあと何か月持つ?」
が見えてきます。
貯金30万円なら、単純計算では赤字1万円だけならかなり持ちます。
でも、車検、医療、家電故障などが重なれば話は変わります。
だから、
生活費と貯金を“月数”に変える
だけでも、危険度が分かりやすくなります。
第2段階|まだ働けているうちに「仕事を軽くできないか」考える
生活が崩れる原因が、
仕事そのものにある場合があります。
長時間労働。
人間関係。
体力。
通勤。
苦手な業務。
責任。
その結果、
心身が悪くなり、
働けなくなり、
収入が減る。
なら、
生活防衛の最初の一手は、
辞めることではなく、働き方を少し軽くすること
かもしれません。
勤務時間。
残業。
業務内容。
休職。
配置。
医師への相談。
会社との調整。
こうした方法を確認します。
すぐ辞めなくてもいい。
でも、
「このまま10年続ける」
という前提も外していい。
40代からは、
働ける状態を守ることが、家計を守ることにもつながります。
第3段階|仕事もお金も住まいも不安なら「自立相談支援機関」
「何が一番問題なのか分からない」
という人にとって、大きな入口になるのが、
生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関
です。
ここでは、
仕事。
住まい。
家計。
社会とのつながり。
など、生活全体を見ながら支援を考えます。
普通の言葉にすると、
「生活が崩れ始めたけれど、どこから直せばいいか分からない人の総合相談」
です。
大切なのは、
「生活保護になるほどではないから対象外」
と最初から決めないこと。
まず相談して、
自分の場合に使える支援を整理してもらいます。
第4段階|家賃が危なくなったら「住居確保給付金」
生活で最も守りたいものの一つが住まいです。
家を失うと、
仕事。
通院。
行政手続き。
生活全般が一気に難しくなります。
そのため、離職や収入減少などにより住居を失った、または失うおそれが高い人について、一定の要件を満たせば住居確保給付金による家賃支援があります。厚生労働省は、一定期間の家賃相当額を支給する仕組みとして案内しています。
ここで重要なのは、
家を失ってから相談する制度ではない
ことです。
「来月の家賃が危ない」
という段階で相談していい。
住まいは最後まで守りたい生活基盤です。
第5段階|家計が回らないなら「家計改善支援」
お金に困ると、
「節約しなきゃ」
だけで解決しようとしがちです。
でも、
収入。
借金。
家賃。
税金。
カード。
医療費。
保険。
全部絡んでいると、自分一人では整理しづらくなります。
生活困窮者自立支援制度には、家計改善支援事業があります。
ここでは家計を「見える化」し、問題を整理しながら、自分で家計を管理できる状態を目指します。必要に応じて関係機関につなぐ支援もあります。
だから、
家計簿を完成させてからでなくていい。
請求書がぐちゃぐちゃでもいい。
ぐちゃぐちゃだから相談する。
それで大丈夫です。
第6段階|すぐにお金が必要なら「貸付制度」という選択肢もある
低所得世帯などを対象に、社会福祉協議会を通じて利用する生活福祉資金貸付制度もあります。
厚生労働省によると、総合支援資金には、生活再建までに必要な生活費を貸し付ける仕組みがあり、単身世帯では月15万円以内、二人以上の世帯では月20万円以内が目安として示されています。また、緊急小口資金では少額の緊急費用を対象に、10万円以内の貸付があります。
ただし、これは給付ではなく貸付です。
返済が必要になります。
だから、
「困ったらすぐ借りる」
ではなく、
家計相談や自立相談支援と組み合わせながら、
借りることで本当に生活再建につながるか
を考えることが大切です。
第7段階|仕事を失った・働けないなら「職業訓練」もある
仕事がなくなった。
でも、今までと同じ仕事では続けにくい。
そんな場合、
すぐ次の会社へ行くだけが選択肢ではありません。
求職者支援制度では、雇用保険を受給できない求職者などを対象に、職業訓練と就職支援を行う仕組みがあります。条件を満たす場合には、月10万円の職業訓練受講給付金を受けながら訓練を受けられる制度もあります。給付要件を満たさない場合でも、無料の職業訓練を受講できるケースがあります。
つまり、
「失業したら、すぐ別の低賃金仕事へ飛び込むしかない」
とは限りません。
学び直し。
資格。
新しい職種。
という橋を使えることがあります。
「まだ働いている人」も支援につながれることがある
ここも大切です。
支援制度というと、
「無職になってから」
と思いがちです。
でも、生活困窮者自立支援制度は、働いていても生活に困りごとや不安がある人が相談できる仕組みです。
また、求職者支援制度についても、一定の条件を満たす在職者が対象になる場合があります。
だから、
「仕事がある=困窮していない」
ではありません。
働いているけれど生活が回らない。
働いているけれど、もう続けられそうにない。
それも相談していい状態です。
「まだ貯金がある」も、相談しない理由にしなくていい
貯金が20万円ある。
50万円ある。
だから、
「全部なくなるまで自分で頑張る」
と思ってしまうことがあります。
でも、全部なくなったときには、
引っ越し。
通院。
転職。
生活防衛。
に使えるお金もありません。
だから、
貯金がまだあるうちに相談する
という考え方もあります。
制度によって資産要件はありますが、相談そのものまで諦める必要はありません。
相談窓口で、
「今は○万円あります。でもこのままだと減っていきそうです」
と正直に伝えればいい。
そして、本当に生活が成り立たなくなったら「生活保護」を避けることだけを目標にしない
ここは、とても大切です。
タイトルでは、
「生活保護になる前に何とかしたい」
と書きました。
そう思う人は多いでしょう。
でも、
生活保護を使わないこと自体を人生の目標にしてはいけない
と思います。
もし、
収入。
資産。
他の制度。
を使っても最低限度の生活を維持できないなら、生活保護は最後の安全網です。
そこまで来ているのに、
「生活保護だけは嫌だ」
と無理をして、
家を失う。
治療をやめる。
食事を削る。
借金を増やす。
となれば、生活再建はさらに難しくなります。
生活保護は、
人生に失敗した人の制度ではありません。
生活を立て直すための最後のセーフティネットです。
「生活保護になる前に」ではなく「生活を壊さないために」
だから、本当はタイトルも、
「生活保護を避ける方法」
ではありません。
大事なのは、
生活保護になる前か後かではなく、生活を壊さないこと
です。
今なら、
働き方を調整する。
自立相談支援へ行く。
住居確保給付金を確認する。
家計改善支援を使う。
職業訓練を調べる。
貸付制度を確認する。
それでも生活できないなら、
生活保護を相談する。
こうして、
一段ずつ安全網を使う。
それでいいのです。
40代だからこそ「ゼロになる前」に動く
20代なら、
一度全部なくなっても、もう一度働き直す時間が長く残っていることがあります。
40代になると、
健康。
再就職。
親。
住まい。
老後。
いろいろなものが重なります。
だからこそ、
貯金ゼロ。
仕事ゼロ。
住まい危機。
健康悪化。
まで一気に落ちないことが重要です。
40代の生活再建では、「底から這い上がる」より「底まで落ちない」ことがかなり大切です。
そのために制度を使います。
自分の状態を3色で見てみる
難しく考えたくない人は、今の生活を3色で見てみてください。
青
仕事がある。
毎月黒字。
生活防衛資金もある。
→今のうちに貯金・働き方・年金を整える。
黄
働いているけれど毎月ぎりぎり。
貯金が減っている。
欠勤が増えた。
カード利用が増えている。
→自立相談支援、家計改善、働き方調整を検討。
赤
家賃が払えない。
食費も足りない。
仕事を失った。
借金で生活費を補っている。
→住まい・生活費・福祉の相談を急ぐ。生活保護も含めて選択肢を確認。
この「黄色」の段階こそ、
一番相談してほしい時期
だと思います。
今日やることは「制度を全部調べる」ではない
この記事を読んで、
「制度が多すぎて分からない」
となったら、今日は一つだけでいいです。
スマートフォンに、
「今の私は青・黄・赤?」
と書きます。
そして一つ選びます。
黄なら、
「自立相談支援機関を調べる」
赤なら、
「明日、相談する」
青なら、
「生活防衛資金を確認する」
それだけ。
人生を立て直すときは、
情報を全部覚えることより、
次にする一つが分かること
のほうが大切です。
まとめ|「まだ大丈夫」のうちに、制度を使っていい
まだ働いている。
まだ家がある。
まだ貯金がある。
だから、
「私は支援を使う人ではない」
と思うかもしれません。
でも、
生活が完全に壊れるまで待つ必要はありません。
むしろ、
まだ仕事がある。
まだ住まいがある。
まだ少し現金がある。
その段階だからできることがあります。
働き方を調整する。
生活困窮者自立支援制度につながる。
家計を整理する。
住まいを守る。
職業訓練を考える。
必要なら貸付を相談する。
それでも生活が維持できなければ、生活保護を含めて相談する。
大事なのは、
生活保護を使わないことではありません。
生活を壊さないこと。
です。
40代で生活が傾き始めると、
「ここから転げ落ちたら終わり」
と思うことがあります。
でも、転げ落ちる前に掴める手すりはあります。
制度。
相談窓口。
医療。
就労支援。
住まいの支援。
家計支援。
一つだけで全部解決しなくてもいい。
いくつかを組み合わせて、
生活が完全に止まらないようにする。
それが、40代からの生活防衛です。
「まだ大丈夫」
と思っている今こそ、
一度、自分の生活を確認してみる。
そして、
「少し危ないかも」
と思ったら、相談していい。
限界は、支援を使い始める条件ではありません。
壊れる前に使う。
守れるものが残っているうちに動く。
そこから、また暮らしを組み直していけばいいのです。
これからを、わたしから。