40代、障害年金があっても老後が不安――働けるうちに厚生年金をどう増やす?
障害年金を受け取っている。
今は仕事もしている。
毎月の生活は、給与と障害年金を組み合わせてなんとか成り立っている。
それでも、ふと不安になることがあります。
「この先、65歳になったらどうなるんだろう」
障害年金はずっと続くのか。
老齢年金はどうなるのか。
今払っている厚生年金保険料には意味があるのか。
仕事を減らしたら老後はもっと苦しくなるのか。
40代になると、「今月暮らせるか」だけではなく、20年後のお金も少しずつ気になってきます。
特に病気や障害があり、以前と同じようには働けない人にとって、
「もっと稼いで老後資金を作りましょう」
だけでは現実的ではありません。
だから今回は、
たくさん働くことではなく、今働ける範囲で厚生年金を積み上げる意味
を考えてみたいと思います。
- まず知っておきたい。障害年金と老齢年金は同じものではない
- 65歳になると「年金の組み合わせ」を考えることになる
- 「障害年金があるから厚生年金を払うのは損」ではない
- 厚生年金は「長時間働ける人だけ」が増やせるものではない
- 「月給を上げる」より「加入期間を長くする」という考え方
- 45歳から65歳までなら、まだ20年ある
- 70歳を過ぎれば厚生年金加入分は増えない
- 65歳以降も働いたら年金は減る?
- 老齢基礎年金と障害基礎年金は「両方そのまま」ではない
- 障害年金は非課税、老齢年金は課税される場合がある
- だから40代の今は、まず「厚生年金を切らさない」を意識する
- 「免除期間があるからもう遅い」と思わない
- ねんきんネットで「今の延長線」を一度見る
- 老後のお金を「障害年金だけ」で考えない
- 老後資金2000万円をいきなり目指さなくていい
- 厚生年金そのものが「老後の積立」でもある
- 老後まで続けるなら「年収」より「厚生年金に何年入れるか」
- 今日使える「障害年金+老後」チェック
- 40代で障害があっても、老後を作る時間は残っている
- まとめ|障害年金がある今も、「未来の年金」を育てていい
まず知っておきたい。障害年金と老齢年金は同じものではない
名前にどちらも「年金」とついているので、混乱します。
でも役割は違います。
障害年金は、
病気や障害によって日常生活や仕事に制限が生じたときの所得保障。
老齢年金は、
高齢期の生活を支える年金。
です。
だから、
「障害年金を受けているから、老齢年金を積み立てる意味はない」
とは限りません。
会社員などとして厚生年金に加入して働けば、その加入期間と報酬は将来の老齢厚生年金の計算に反映されます。老齢厚生年金は、厚生年金へ加入して働いた期間や報酬をもとに計算されます。
つまり、
障害年金を受けながら働いた期間も、厚生年金加入期間なら将来へ積み上がっていく
ということです。
65歳になると「年金の組み合わせ」を考えることになる
65歳以降になると、障害年金と老齢年金の関係が出てきます。
原則として、支給理由の異なる年金はどちらか一方を選ぶ仕組みですが、65歳以降には例外があります。
日本年金機構は、65歳以上の障害基礎年金受給者について、
障害基礎年金+老齢厚生年金
を同時に受け取る選択ができると案内しています。
これは、とても重要です。
たとえば、
障害基礎年金を受けながら、
40代、50代、60代前半まで厚生年金へ加入して働いた。
すると、その厚生年金加入分が、
65歳以降、
障害基礎年金に老齢厚生年金を組み合わせる
という形につながる可能性があります。
厚生労働省も、この仕組みについて、障害を有しながら働いて保険料を納めたことを年金制度上評価するための改善だったと説明しています。
つまり、
障害があっても働いた期間を、老後の年金へちゃんと反映させよう
という考え方です。
「障害年金があるから厚生年金を払うのは損」ではない
給与明細を見ると、
厚生年金保険料。
結構引かれています。
手取りだけを見ると、
「こんなに引かれるなら、社会保険に入らない働き方のほうが得なのでは?」
と思うこともあります。
でも40代からは、
今月の手取りだけで判断しない
ことも大切です。
厚生年金保険料を払うことで、
将来の老齢厚生年金。
健康保険。
病気で働けなくなった場合の傷病手当金など一定の社会保障。
につながります。
そして障害基礎年金を受け取っている人については、65歳以降に老齢厚生年金との組み合わせを選べる仕組みがあります。
だから、
「手取りが減る」だけではなく、「将来受け取る年金の種を植えている」
と見ることもできます。
厚生年金は「長時間働ける人だけ」が増やせるものではない
ここで、
「でも私はフルタイムでは働けない」
と思う人もいるでしょう。
大丈夫です。
厚生年金は、
正社員だけ。
週5日8時間だけ。
の制度ではありません。
短時間労働者についても社会保険の適用は拡大されています。
だから、自分の働き方が加入条件を満たせば、
短時間勤務でも厚生年金へ加入できます。
つまり、
無理してフルタイムになることだけが、老齢厚生年金を増やす方法ではありません。
週20時間程度。
短時間。
配慮あり。
そういう働き方でも、厚生年金に加入しながら長く続けられれば、その期間が積み上がっていきます。
「月給を上げる」より「加入期間を長くする」という考え方
老齢厚生年金は、加入期間と報酬によって金額が変わります。
当然、
給料が高い。
加入期間が長い。
ほど、原則として年金額も増えます。
でも病気や障害がある人に、
「もっと給料を上げましょう」
だけを勧めると、
身体が持たないことがあります。
だから私は、
40代からなら、
給与を急激に上げるより、厚生年金に入りながら長く働く
という考え方も大切だと思います。
たとえば、
高収入だけれど2年で離職。
より、
少し低めでも15年続く。
なら、
給与。
社会保険。
厚生年金加入期間。
すべてが積み上がります。
これは前の記事で書いた、
「月給より勤続可能年数」
という考え方ともつながります。
45歳から65歳までなら、まだ20年ある
40代で、
「今さら年金なんて増えない」
と思うことがあります。
でも仮に45歳なら、
65歳まで20年。
50歳でも15年です。
厚生年金へ加入して働く期間としては、決して短くありません。
しかも65歳以降も働く場合、70歳未満まで厚生年金加入が続くことがあります。65歳以上70歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受ける人については、毎年、加入実績を年金額へ反映する「在職定時改定」という仕組みもあります。
つまり、
働ける期間がある限り、年金を積み上げる機会はまだ残っています。
70歳を過ぎれば厚生年金加入分は増えない
一方で、上限もあります。
日本年金機構は、70歳以上の期間については厚生年金保険に加入しないため、老齢厚生年金額の再計算には反映されないと案内しています。
だから、
「何歳まで働いても厚生年金が増え続ける」
わけではありません。
基本的には、
70歳までの厚生年金加入期間
をどう積み上げるかという考え方になります。
65歳以降も働いたら年金は減る?
ここで「在職老齢年金」という言葉が出てきます。
老齢厚生年金を受けながら厚生年金に加入して働き、給与と老齢厚生年金が一定水準を超える場合、老齢厚生年金の一部が支給停止になる仕組みです。
2026年度は、賃金と老齢厚生年金の合計について、支給停止調整額が月65万円となっています。
ただし、
これは老齢厚生年金の話です。
しかも月65万円という水準なので、
障害者雇用や短時間勤務など比較的収入が低めの働き方をしている人すべてが直ちに対象になるわけではありません。
制度額は今後変わる可能性があるので、65歳になる時点で改めて確認すれば大丈夫です。
40代の今から、
「65歳で働いたら年金が全部なくなる」
と心配しすぎなくていいと思います。
老齢基礎年金と障害基礎年金は「両方そのまま」ではない
ここも大切です。
65歳になったら、
障害基礎年金+老齢基礎年金+老齢厚生年金
を全部そのまま重ねてもらえる。
というわけではありません。
原則として、同じ「基礎年金」に当たる障害基礎年金と老齢基礎年金を同時に受けることはできません。
一方で、65歳以降は、
障害基礎年金+老齢厚生年金
という組み合わせを選択できる場合があります。
だから65歳が近くなったら、
障害基礎年金+老齢厚生年金。
老齢基礎年金+老齢厚生年金。
その他、自分に権利がある組み合わせ。
を年金事務所で比較します。
障害年金は非課税、老齢年金は課税される場合がある
ここも比較するときに重要です。
日本年金機構は、障害年金には税金がかからない一方で、老齢年金には税金がかかる場合があると案内しています。
だから、
額面だけを見て、
「老齢年金のほうが1万円多い」
と決めるのではなく、
税金。
社会保険料。
手取り。
まで含めて考えたほうがいい場合があります。
65歳になったときに、
「一番額面が大きい組み合わせ」ではなく、「実際に生活で使える金額が大きい組み合わせ」
を確認します。
だから40代の今は、まず「厚生年金を切らさない」を意識する
では、40代の今、何をすればいいのでしょう。
年金制度を全部勉強する必要はありません。
私はまず、
働けるなら厚生年金に加入できる働き方を選ぶ
ことを意識するといいと思います。
もちろん、
体調を壊してまで働く必要はありません。
でも、
週20時間なら働ける。
社会保険加入対象になる。
それなら、
短時間でも続ける。
この積み重ねが、
将来の老齢厚生年金につながります。
「免除期間があるからもう遅い」と思わない
若いころ、
国民年金を免除していた。
未納がある。
そんな人もいます。
すると、
「どうせ老齢年金は少ない」
と諦めたくなることがあります。
でも、
過去を変えることはできなくても、
これから厚生年金を積み上げることはできます。
しかも正式な免除期間と単なる未納は、年金上の扱いが違います。
だから、
「昔払えなかったから老後は終わり」
と自分で決めない。
ねんきんネットで、
これまでの加入期間。
将来の見込み額。
を確認します。
ねんきんネットで「今の延長線」を一度見る
以前の記事でも触れましたが、
ねんきんネットでは、
自分の年金記録。
将来受け取れる老齢年金の見込み額。
などを確認できます。
ここで見たいのは、
「少なすぎる!」
と落ち込むための数字ではありません。
今の働き方を続けたらどうなる?
を確認するためです。
たとえば、
今のまま65歳まで厚生年金加入。
50歳で仕事を減らす。
60歳まで働く。
など、働き方による見込み額を確認しながら考えます。
老後のお金を「障害年金だけ」で考えない
今障害年金を受け取っていると、
どうしても、
「老後もこれがあるから」
と考えたくなります。
でも40代の今なら、
老後の柱を複数作れます。
障害年金・老齢年金。
給与。
現金。
NISAなどの資産。
です。
もちろん、そのすべてを大きくする必要はありません。
たとえば、
毎月5,000円の現金貯金。
厚生年金加入。
余力があれば少額NISA。
これでも柱は増えます。
社会的に弱い立場にいる人ほど、
一つの収入源だけに老後を預けない
ことが大切です。
老後資金2000万円をいきなり目指さなくていい
40代で、
障害年金。
低めの給与。
という生活だと、
「2000万円なんて無理」
と思います。
でも、それを最初のゴールにしなくていい。
まず、
生活防衛資金。
厚生年金加入。
毎月黒字。
少額の積立。
です。
5000円でも、
20年積めば元本だけでも120万円。
月1万円なら240万円。
もちろんNISAなどでは値動きがありますから、必ず増える保証はありません。
でも、
0か2000万円か
ではないのです。
一つずつ増やします。
厚生年金そのものが「老後の積立」でもある
NISAへ月3万円入れられない。
そんな人もいます。
でも会社で厚生年金へ加入して働いているなら、
すでに老後へ向けて一つ積み上げています。
しかも厚生年金保険料は、事業主と被保険者が負担する仕組みです。
だから、
「投資できないから何も老後対策していない」
と思わなくていい。
厚生年金に入りながら働き続けること自体が、一つの老後準備
なのです。
老後まで続けるなら「年収」より「厚生年金に何年入れるか」
40代からの仕事探しでは、
月給18万円。
月給20万円。
という差も大切です。
でも、
社会保険あり。
何年働けそう。
という条件も同じくらい見たいところです。
たとえば、
月給20万円・社会保険なし・不安定。
と、
月給17万円・厚生年金あり・長く続けられる。
では、
20年後の姿は違います。
今の3万円だけでなく、
将来の年金まで含めて求人を見る。
これが40代からの働き方です。
今日使える「障害年金+老後」チェック
難しい計算をしなくても、これだけ確認してみてください。【障害年金+老後チェック】 ■ 今の年金 受給中の障害年金: □ 障害基礎年金 □ 障害厚生年金 □ 分からない 等級: 級 ■ 今の仕事 雇用形態: 厚生年金: 加入中・未加入・分からない 週の勤務時間: 時間 ■ これまで 厚生年金加入期間: 約 年/分からない 国民年金の免除期間: ある・ない・分からない 未納: ある・ない・分からない ■ これから 何歳くらいまで働けそう: 歳 今の働き方をあと5年続けられそう: ○・△・× ■ 老後の柱 □ 障害年金 □ 老齢厚生年金 □ 老齢基礎年金 □ 現金 □ NISA □ その他 ■ 次にすること □ ねんきんネットを見る □ 厚生年金加入記録を確認する □ 将来の年金見込み額を見る □ 年金事務所へ相談する □ 毎月5,000円だけ現金を残す 今日やる一つ:
全部分からなくても構いません。
「厚生年金に何年入っているか分からない」
それが分かっただけでも、
次の行動が決まります。
40代で障害があっても、老後を作る時間は残っている
病気。
障害。
休職。
低収入。
そういうことが続くと、
「私には老後を準備する余裕なんてない」
と思うことがあります。
実際、たくさん貯めることが難しい人もいます。
でも、
老後準備は、
貯金だけではありません。
厚生年金に入る。
働ける範囲で続ける。
生活防衛資金を作る。
少額でも現金を残す。
余裕ができたら投資する。
これら全部が老後準備です。
そして障害基礎年金を受給している人が厚生年金へ加入して働くことは、65歳以降に障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせられる可能性につながります。これは、障害を持ちながら働いた期間を評価するために設けられた仕組みです。
まとめ|障害年金がある今も、「未来の年金」を育てていい
障害年金を受けている。
だから、
老後の年金は関係ない。
ではありません。
働ける範囲で厚生年金へ加入して働けば、
その期間は将来の老齢厚生年金へ反映されます。
そして65歳以降には、一定の場合、
障害基礎年金+老齢厚生年金
という組み合わせを選ぶこともできます。
だから40代の今することは、
老後2000万円を一気に目指すことではありません。
まず、
厚生年金に入れる働き方を続ける。
生活防衛資金を少し作る。
ねんきんネットで将来額を見る。
余力があれば少額で資産形成する。
一つずつです。
そして、
フルタイムでなければ意味がない、
とも思わなくていい。
短時間でも。
配慮を受けながらでも。
障害年金を受けながらでも。
厚生年金へ加入して働いた時間は、未来へ積み上がっていきます。
40代で社会的に弱い立場になったとしても、
未来まで弱いままと決まったわけではありません。
大きなお金を一気に作れなくても、
働ける時間。
年金。
現金。
少額の積立。
いくつもの小さな柱を増やしていく。
そうやって、
50代。
60代。
その先の暮らしへ橋をかけていく。
老後を作ることは、
「人並みの資産を持つこと」ではありません。
将来の自分が、今より少し選べる状態を作っておくこと。
それなら、40代の今からでも始められます。
これからを、わたしから。