40代、老後まであと15年・20年しかない――月5,000円・1万円・3万円でどこまで準備できる?
40代になって老後のお金を考え始めると、
「もっと早く始めればよかった」
と思うことがあります。
20代から投資している人。
30代で住宅ローンを組み終えている人。
すでに何百万円、何千万円と資産を持っている人。
そんな話を見ると、
自分はもう遅いような気がする。
さらに、
病気。
障害。
休職。
非正規雇用。
低収入。
こうしたことを経験してきた人なら、
「若いころから積み立てる余裕なんてなかった」
ということもあると思います。
だから、
「40代なら毎月5万円投資しましょう」
と言われても、できない。
でも、
月5,000円なら?
1万円なら?
あるいは、生活が安定してきたら3万円なら?
今回は、
今あるお金を無視して、大きな老後資産を作る話ではありません。
暮らしを壊さない範囲で、
現金。
NISA。
厚生年金。
という3つの方法を組み合わせながら、
「老後までの15年・20年でどこまで準備できる?」
を考えます。
- 「あと20年しかない」ではなく「まだ240回ある」
- まず、投資を始める前に「現金」があるか
- 老後のお金を「3本の柱」にする
- 月5,000円なら、やる意味はある?
- 月5,000円しか出せないなら、全部NISAにしなくてもいい
- 月1万円なら20年間で240万円
- 月3万円なら「全部投資」より、3つに分けることもできる
- NISAなら「いくらまで入れられる?」より、「いくらなら続けられる?」
- 月5,000円・1万円・3万円を「運用したらいくら?」は慎重に見る
- 「投資額を増やす」より厚生年金を続けるほうが重要な場合もある
- 40代は「投資だけ」で老後を作らなくていい
- ねんきんネットを使えば「厚生年金を続けたらどうなる?」を見られる
- 月3万円を全部老後へ回せない月があってもいい
- 40代で「老後資金ゼロ」に近くても、最初に100万円を作れば景色が変わる
- 老後まで15年なら、投資しないと間に合わない?
- 「投資できない月」は、厚生年金を積んでいると思っていい
- 月5,000円なら「現金優先」の時期があっていい
- 月1万円なら「5,000円+5,000円」が使いやすい
- 月3万円なら「今・もしも・未来」に分ける
- 生活防衛資金が完成したら、その分をNISAへ移す
- 「老後まで20年」も、20年間同じ金額でなくていい
- 今日使える「15年・20年老後準備」テンプレート
- 40代の老後準備は「追いつく」ためにするのではない
- まとめ|あと15年・20年「しか」ではなく、まだ180回・240回ある
「あと20年しかない」ではなく「まだ240回ある」
たとえば45歳から65歳まで。
20年間です。
月に直すと、
240か月。
50歳から65歳でも、
15年間=180か月。
こう見ると、少し印象が変わります。
毎月1回、小さな準備をするとしたら、
45歳なら240回。
50歳でも180回。
まだあります。
老後準備は、
一度に100万円を用意することだけではありません。
毎月の小さな行動を、長い時間繰り返すこと
でも作れます。
金融庁も、資産形成の基本として「長期・積立・分散」を挙げ、積立投資は少額から継続して行える方法だと説明しています。一方で、投資には元本割れの可能性があります。つまり、長く続ける価値はありますが、「絶対増える貯金」ではありません。
まず、投資を始める前に「現金」があるか
老後が不安になると、
真っ先にNISAを始めたくなることがあります。
でも、
貯金10万円。
毎月赤字。
仕事を休む可能性がある。
という人まで、老後資金を株式投資へ回す必要はありません。
まず必要なのは、
生活防衛資金。
です。
病気。
退職。
家電故障。
引っ越し。
急な医療費。
こうしたときにすぐ使えるお金です。
投資信託は、必要な瞬間に価格が下がっている可能性があります。
金融庁も、株式や投資信託には元本割れのおそれがあると説明しています。
だから順番は、
生活を守る現金。
そのあとに、
将来へ育てるお金。
です。
老後のお金を「3本の柱」にする
ここまでの記事でも何度か使ってきた考え方です。
老後の準備も、
①現金
②厚生年金
③NISAなどの長期資産
の3本に分けます。
現金は、
何かあったときすぐ使える。
厚生年金は、
働きながら将来の年金収入を積み上げる。
NISAは、
すぐ使わないお金を長期で育てる。
役割が違います。
だから、
「老後資金3万円」
があるからといって、
全部NISAへ入れる必要はありません。
月5,000円なら、やる意味はある?
「月5,000円なんて少なすぎる」
と思うかもしれません。
でも、
20年間なら、
5,000円×12か月×20年。
元本だけで、
120万円。
15年間でも、
90万円。
です。
投資なら値動きがあるため、この金額になる保証はありません。
でも、
月5,000円では意味がない。
ということはありません。
120万円あれば、
老後の不足が月1万円なら10年分。
大きな家電。
医療。
転居。
などにも使えます。
そして何より、
「私は老後に何もしていない」という状態から抜けられます。
月5,000円しか出せないなら、全部NISAにしなくてもいい
たとえば現金がほとんどないなら、
最初は、
現金5,000円。
でもいい。
生活防衛資金がある程度できたら、
現金3,000円。
NISA2,000円。
さらに余裕ができれば、
NISA5,000円。
と変えてもいい。
NISAは、一度決めた金額を一生続けなければならない制度ではありません。
生活に合わせて調整します。
月1万円なら20年間で240万円
次に、
月1万円。
45歳から65歳まで20年間なら、
元本は、
240万円。
50歳から65歳の15年間なら、
180万円。
かなり現実的な金額になってきます。
これを全部NISAへ入れてもいい人もいます。
でも、
病気や障害があり、働けなくなるリスクがある人なら、
私は、
現金と投資を分ける
考え方を持っておきたいと思います。
たとえば、
月5,000円→現金。
月5,000円→NISA。
です。
これなら、
20年間の元本で、
現金120万円。
投資120万円。
になります。
もちろん投資部分は増減します。
でも、
すぐ使えるお金と、長く育てるお金の両方
を作れます。
月3万円なら「全部投資」より、3つに分けることもできる
月3万円を老後へ回せる。
かなり大きな力です。
20年間なら、
元本だけでも、
720万円。
15年間なら、
540万円。
です。
ここまで来ると、
「老後2000万円なんて無理」
という景色も少し変わってきます。
ただし、
3万円全部をNISAへ入れることだけが正解ではありません。
たとえば、
現金1万円。
NISA2万円。
でもいい。
あるいは、
生活防衛資金が十分なら、
NISA3万円。
でもいい。
自分が今どの段階にいるか
で配分します。
NISAなら「いくらまで入れられる?」より、「いくらなら続けられる?」
現在のNISAには、つみたて投資枠があり、年間120万円まで投資でき、成長投資枠と合わせた非課税保有限度額は1,800万円です。
でも、
「年間120万円入れられる」
ことと、
「120万円入れたほうがいい」
ことは全く違います。
月10万円です。
そんな余裕がない人はたくさんいます。
NISAの上限は、
目標ではありません。
制度が許している最大値です。
月5,000円でも。
1万円でも。
自分が無理なく続けられる額でいいのです。
月5,000円・1万円・3万円を「運用したらいくら?」は慎重に見る
ネットには、
「年利5%なら20年後○万円!」
という試算がよくあります。
確かに複利を使った試算には意味があります。
金融庁も、長期投資では運用益を再投資する複利効果が期待できると説明しています。
でも、
未来の運用利回りは決まっていません。
だから私は、
最初に元本を見ることをおすすめします。
20年間なら、
月5,000円→120万円。
月1万円→240万円。
月3万円→720万円。
まずこれ。
運用によって増えた部分は、
うまくいけば上乗せされるもの
くらいに考えます。
このほうが、暴落したときにも落ち着きやすいと思います。
「投資額を増やす」より厚生年金を続けるほうが重要な場合もある
ここまでNISAの話をしていますが、
老後対策は投資だけではありません。
会社員などとして厚生年金へ加入して働けば、
加入期間や報酬が将来の老齢厚生年金へ反映されます。
しかも短時間労働者への社会保険適用は拡大が進んでいます。2026年8月現在、対象となる短時間労働者には週20時間以上などの条件があり、2026年10月には賃金要件の撤廃が予定されています。企業規模要件についても今後段階的に縮小・撤廃される制度改正が進んでいます。
つまり、
「月3万円NISAへ入れるために、社会保険に入らない働き方を選ぶ」
より、
厚生年金へ加入して無理なく働き、
月5,000円だけNISA。
のほうが、老後全体では自分に合う場合があります。
40代は「投資だけ」で老後を作らなくていい
たとえば、
45歳。
毎月NISA5,000円。
厚生年金加入。
現金貯金5,000円。
これを20年続ける。
それだけでも、
投資元本120万円。
現金120万円。
そして20年間の厚生年金加入実績。
が残ります。
ここが重要です。
NISAだけを見ると、
「120万円しかない」
かもしれません。
でも実際には、
現金+NISA+将来の老齢厚生年金
があります。
老後資金は、証券口座の残高だけではありません。
ねんきんネットを使えば「厚生年金を続けたらどうなる?」を見られる
日本年金機構の「ねんきんネット」では、将来受け取る老齢年金の見込額を試算できます。
現在と同じ条件で60歳まで加入した場合の「かんたん試算」のほか、自分で働き方などの条件を設定して試算することもできます。
だから、
「NISAをあと1万円増やす?」
だけではなく、
「この働き方をあと10年続けたら年金はいくら?」
も一緒に見ます。
これが40代からの老後準備にはかなり大切です。
月3万円を全部老後へ回せない月があってもいい
毎月3万円積み立てていた。
でも、
犬の病院。
車検。
自分の通院。
家電故障。
が重なった。
そんな月があります。
そのとき、
「積立を止めたら老後が終わる」
と思わなくていい。
一度減らす。
止める。
また始める。
それでいい。
長期積立の大敵は、
一時停止ではなく、無理をして生活そのものが破綻すること
だと思います。
投資は生活を守ったあとです。
40代で「老後資金ゼロ」に近くても、最初に100万円を作れば景色が変わる
老後2000万円は遠い。
でも、
最初の100万円ならどうでしょう。
月1万円なら、
単純な元本で100か月。
約8年4か月。
月2万円なら、
約4年2か月。
月3万円なら、
約2年10か月。
もちろん突然の出費もあるので、現実には一直線にはいきません。
でも、
まず100万円。
という目標なら、2000万円よりずっと現実的です。
しかも生活防衛資金として100万円があれば、
「仕事を辞めたら明日から終わり」
という恐怖も少し小さくなります。
老後まで15年なら、投資しないと間に合わない?
そんなこともありません。
50歳。
老後まで15年。
投資期間として20代より短い。
それは事実です。
でも、
だからといって、
リスクを上げて一発逆転を狙う必要はありません。
むしろ残り時間が短くなるほど、
大きな損失を取り戻す時間も短くなります。
金融庁が示す基本も、特定の商品へ集中して大きなリターンを狙うことではなく、長期・積立・分散です。
50代になっても、
現金を確保する。
少額を積み立てる。
厚生年金を続ける。
それでいいのです。
「投資できない月」は、厚生年金を積んでいると思っていい
これ、けっこう大切です。
NISAを毎月できない。
今月は0円。
すると、
「老後準備できなかった」
と思います。
でも、
会社で厚生年金へ加入して働いた。
それなら、
その月も老後へ向けた準備をしています。
資産形成=NISAだけ
ではありません。
公的年金も老後の大きな柱です。
だから、
投資できない自分を、
「何もしていない」
にしないことです。
月5,000円なら「現金優先」の時期があっていい
たとえば、
貯金20万円。
障害年金あり。
仕事あり。
でも仕事を続けられるか少し不安。
そんな人なら、
月5,000円をNISAへ入れるより、
まず現金30万円。
50万円。
へ増やすことを優先してもいいと思います。
現金がある程度できたら、
その5,000円のうち、
2,000円をNISA。
さらに余裕ができたら5,000円。
と移します。
資産形成には、
順番があります。
月1万円なら「5,000円+5,000円」が使いやすい
毎月1万円なら、
私は考え方の一例として、
現金5,000円。
長期資産5,000円。
という二分割が分かりやすいと思います。
もちろん、
すでに十分な生活防衛資金があるなら、
NISA1万円。
でも構いません。
反対に現金がほとんどなければ、
現金1万円。
でもいい。
数字より、
今の自分に足りない柱へ入れる
ことが大切です。
月3万円なら「今・もしも・未来」に分ける
月3万円なら、さらに分けられます。
たとえば、
もしもの現金 1万円
老後NISA 1万円
将来の大きな支出 1万円
です。
大きな支出には、
車。
引っ越し。
ペット。
医療。
などがあります。
これなら、
老後のために今を犠牲にしすぎません。
生活防衛資金が完成したら、その分をNISAへ移す
たとえば、
毎月、
現金1万円。
NISA1万円。
を積み立てている。
生活防衛資金100万円が完成した。
そうしたら、
それまで現金へ回していた1万円を、
NISAへ移す。
すると、
NISA2万円。
になります。
こうして、
年齢ではなく、家計の状態に合わせて積立額を変える
のです。
「老後まで20年」も、20年間同じ金額でなくていい
45歳。
月5,000円。
50歳。
月1万円。
55歳。
子育てやローンなどが落ち着いて月2万円。
という増やし方でもいい。
反対に、
50代で体調が悪くなったら、
減らしてもいい。
老後準備は、
20年間同じ金額を守る競技ではありません。
続けられる範囲で形を変えながら残すこと
が大切です。
今日使える「15年・20年老後準備」テンプレート
そのままコピーして使えます。【私の15年・20年老後準備メモ】 ■ 老後まで 現在 歳 65歳まで: あと 年 月数にすると: 約 か月 ■ 今、毎月老後へ回せそうなお金 □ 5,000円 □ 1万円 □ 2万円 □ 3万円 □ その他 円 ■ まず現金 現在の現金: 約 万円 目標の生活防衛資金: 約 万円 目標まであと: 万円 ■ 厚生年金 現在加入: はい・いいえ・分からない 週の勤務時間: 約 時間 ねんきんネット確認: 済・まだ ■ NISA 現在: 月 円 無理なく続けられそう: 月 円 ■ 私の配分 毎月 円を 現金: 円 NISA: 円 将来の大きな支出: 円 ■ 元本だけで考えると 月5,000円 15年 → 90万円 20年 → 120万円 月1万円 15年 → 180万円 20年 → 240万円 月3万円 15年 → 540万円 20年 → 720万円 ※NISA部分の将来額は値動きがあるため保証されません。 ■ 今、一番弱い柱 □ 現金 □ 厚生年金 □ NISA □ 住まい □ 毎月の家計 ■ 今日する一つ :
ポイントは、
「毎月いくら投資する?」
ではなく、
今、一番弱い柱は何?
から考えることです。
40代の老後準備は「追いつく」ためにするのではない
SNSを見れば、
40代で資産2000万円。
3000万円。
FIRE。
そういう人がいます。
でも、その人と追いかけっこをする必要はありません。
これまで、
病気で働けなかった。
非正規だった。
家族を頼れなかった。
就職が難しかった。
そういう人生なら、若いころから資産形成できなかったこともあります。
だから今から、
「同年代の平均に追いつかなきゃ」
と無理をすると、
また今の生活を壊してしまいます。
必要なのは、
他人に追いつくことではなく、未来の自分を今より少し楽にすること。
です。
月5,000円でもいい。
厚生年金を続けるだけでもいい。
現金を1万円増やしてもいい。
その一歩が、
20年間積み重なると違いになります。
まとめ|あと15年・20年「しか」ではなく、まだ180回・240回ある
40代。
老後まであと15年。
20年。
「もう時間がない」
と感じます。
でも、
15年なら180か月。
20年なら240か月。
あります。
月5,000円なら、
20年で元本120万円。
月1万円なら240万円。
月3万円なら720万円。
そして、それだけではありません。
厚生年金へ加入して働いていれば、
将来の老齢厚生年金も積み上がっています。ねんきんネットでは、現在と同じ条件だけでなく、働き方などを変えた条件でも将来の老齢年金見込額を試算できます。
だから老後準備を、
NISA口座の残高だけで採点しない。
現金。
厚生年金。
NISA。
3つを見る。
現金がないなら、まず現金。
少し余裕ができたらNISA。
働けるなら、無理のない範囲で厚生年金へ加入して長く働く。短時間労働者への社会保険適用も今後さらに広がっていく制度改正が進んでいます。
そして、
老後のために今の生活を壊さない。
これが一番大切です。
月5,000円しかできない。
ではなく、
月5,000円ならできる。
今は投資できない。
ではなく、
今は現金を作る時期。
そう考えていい。
40代は、
老後準備に遅すぎる年代ではありません。
若いころとは違う方法で、
今の自分に合わせて準備を始める年代です。
あと240回。
あるいは180回。
その一回一回で、
少しずつ未来の自分へ残していく。
大きな一発ではなく、
暮らしを壊さない小さな積み重ね。
それが、40代からの老後準備なのだと思います。
これからを、わたしから。