40代、家賃が払えなくなりそう――滞納する前・1か月滞納・退去が怖いときにすること
家賃の支払日が近づいている。
でも、口座にお金が足りない。
給料日までまだある。
貯金も減ってきた。
そんなとき、
「どうしよう」
という不安が一気に大きくなります。
40代になると、住まいを失う怖さはかなり深刻です。
次の仕事。
通院。
行政手続き。
荷物。
ペット。
生活の全部が、家という場所の上に乗っているからです。
だから、
家賃は「払えなくなってから考えるもの」ではありません。
むしろ、
「来月ちょっと危ないかも」
という段階から動いていい。
厚生労働省の生活困窮者自立支援制度では、離職や収入減少などで住居を失った、または失うおそれが高い人に対する住居確保給付金や、自立相談支援、家計改善支援などが用意されています。住居確保給付金の相談・申請は、地域の自立相談支援機関が窓口です。
今回は、
まだ滞納していない
1か月滞納してしまった
退去が怖くなってきた
この3段階で考えます。
- まず知っておきたい。「家賃が払えない=すぐ家を追い出される」ではない
- 第1段階|まだ滞納していない。でも次の家賃が危ない
- 滞納前なら、自立相談支援機関へ相談していい
- 管理会社や大家さんへ「払えないかも」を早めに伝える意味
- 第2段階|家賃を1か月滞納してしまった
- 1か月滞納したら「払える額」だけでなく「今後払えるか」を見る
- 借金で家賃を払う前に、一度相談する
- 第3段階|「退去してください」と言われそうで怖い
- 「もう出ていけと言われた=明日出る」ではない
- 住居確保給付金は「今の家を守る」だけではなく住まい支援が広がっている
- 家賃を下げるための引っ越しにもお金がかかる
- 生活保護も「住まいを失ってから」ではない
- 家賃のために削らないほうがいいもの
- 家族を頼れない人は「住まい」を早めに守る
- 今日使える「家賃SOSメモ」
- まとめ|家賃問題は「最後まで隠す」ほど難しくなる
まず知っておきたい。「家賃が払えない=すぐ家を追い出される」ではない
家賃が遅れた瞬間、
「もう退去させられる」
と思ってしまう人もいます。
でも、賃貸借契約の解除や明渡しには法的な手続きがあります。
実務上、家賃滞納が続いた場合には賃貸人から請求、契約解除、明渡し請求と進むことがありますが、法的な明渡しを求める場合には訴訟などの手続きが必要になります。法テラスも、数か月程度以上の滞納がある場合に契約解除や明渡し請求が問題になり得ることを案内しています。
つまり、
1回遅れた=翌日から強制退去
という単純な話ではありません。
ただし、だからといって放置していいわけでもありません。
遅れが長くなるほど、選択肢は減りやすくなります。
だからこそ、
早く連絡する
ことが大切です。
第1段階|まだ滞納していない。でも次の家賃が危ない
実は、ここが一番動きやすい段階です。
まだ家賃は遅れていない。
でも、
次回は足りないかもしれない。
給料が減った。
仕事を辞めるかもしれない。
貯金を取り崩している。
そんな状態です。
この段階でまずすることは、
家賃だけを見るのではなく、生活全体の赤字を確認すること。
です。
家賃5万円。
手取り15万円。
最低生活費16万円。
なら、家賃だけを何とかしても毎月1万円ずつ不足します。
だから、
「今月の家賃をどう払う?」
と同時に、
「なぜ足りなくなった?」
も見ます。
仕事の収入減なのか。
医療費なのか。
借金返済なのか。
固定費なのか。
これを早めに確認します。
滞納前なら、自立相談支援機関へ相談していい
生活困窮者自立支援制度では、生活に困りごとや不安がある場合、地域の相談窓口で支援員が相談を受け、本人と一緒に支援プランを作ります。仕事・住まい・家計などを横断して相談できます。
だから、
「まだ滞納していないから相談するほどではない」
と思わなくていい。
むしろ、
滞納する前だからこそ相談する。
この考え方でいいのです。
住居確保給付金についても、「すでに住居を失った人」だけではなく、「住居を失うおそれが高い人」も対象として制度設計されています。もちろん収入・資産・求職活動など一定の要件があります。
管理会社や大家さんへ「払えないかも」を早めに伝える意味
これも大切です。
家賃が払えないことが分かったら、
支払日を過ぎてから無視するより、
事前に連絡する
ほうが話し合いにつながりやすい場合があります。
たとえば、
「今月収入が減っていて、○日なら支払える見込みです」
「全額は難しいので、支払い方法について相談できますか」
と伝えます。
もちろん、必ず分割や猶予に応じてもらえるとは限りません。
でも、
何も連絡せず滞納するより、
状況を共有しておく
ことには意味があります。
第2段階|家賃を1か月滞納してしまった
次に、
もう1か月遅れてしまった。
という段階です。
ここで一番避けたいのは、
怖くなって連絡を全部無視すること。
です。
電話。
郵便。
メール。
見るのが怖い。
分かります。
でも、無視している間にも滞納額は増えます。
1か月分。
2か月分。
3か月分。
と増えるほど、一括で戻すのが難しくなります。
だから、
まず現状を整理します。
家賃はいくら。
何か月遅れている。
次の収入はいつ。
今いくら払える。
これだけでもいい。
1か月滞納したら「払える額」だけでなく「今後払えるか」を見る
たとえば家賃5万円を1か月滞納した。
来月給料が入る。
でも来月も生活費が足りない。
という場合、
今月5万円だけ何とか払っても、
翌月また滞納します。
だから、
滞納分を払う計画と、毎月の家計を立て直す計画をセット
にします。
ここで家計改善支援が使える場合があります。
厚生労働省の家計改善支援では、家計状況を「見える化」し、本人と一緒に課題を整理しながら、必要に応じて関係機関へつなぐ支援が行われます。
「自分で家計簿を完成させてから相談」ではありません。
払えなくなっているから相談する。
それでいいのです。
借金で家賃を払う前に、一度相談する
家賃が遅れると、
キャッシング。
リボ払い。
カードローン。
で穴を埋めたくなることがあります。
もちろん一時的に支払える可能性はあります。
でも、次の月には、
家賃+借金返済+利息
になります。
収入が戻る明確な見込みがない場合、
家賃滞納が借金問題へ変わる
ことがあります。
だから、借りる前に、
自立相談支援。
家計改善支援。
必要なら債務相談。
につながることを考えます。
第3段階|「退去してください」と言われそうで怖い
滞納が続いている。
督促が来ている。
契約解除という言葉が出た。
退去を求められるのではないか。
この段階になると、かなり怖いと思います。
まず、
届いた書類を捨てない。
これが大事です。
督促状。
内容証明。
裁判所からの書類。
契約解除の通知。
全部残します。
そして、内容が分からなくても、
法的な相談先につなぎます。
法テラスでは、賃貸や明渡しを含む住まいの法律問題について情報提供や法律相談の案内を行っています。収入・資産など一定の要件を満たす人には、無料法律相談や費用立替制度が利用できる場合もあります。
「もう出ていけと言われた=明日出る」ではない
法的な明渡しには手続きがあります。
賃料滞納を理由に明渡しを求める場合、賃貸人側が訴訟などの法的手続きを取る場合があります。
だから、
大家さんや管理会社から強い言葉を言われた瞬間に、
「今日中に家を出なければ」
と自分だけで判断しないことです。
一方で、
正式な通知や裁判所から書類が届いているのに放置するのも危険です。
怖いからこそ、第三者へ見せる。
法テラス。
自治体の法律相談。
弁護士。
自立相談支援。
などへつなぎます。
住居確保給付金は「今の家を守る」だけではなく住まい支援が広がっている
生活困窮者自立支援制度では、住まい支援の強化も進められています。
厚生労働省は、住居確保給付金について家賃支援に加え、要件を満たす場合の転居費用の支援を含め、住宅確保が難しい人への相談支援を強化する制度改正を進めています。
つまり、
「今の家に絶対住み続けなければならない」
だけではありません。
家賃が高すぎて今後も維持できないなら、
住まいそのものを組み直す
という選択肢もあります。
これは失敗ではありません。
生活を続けるための調整です。
家賃を下げるための引っ越しにもお金がかかる
家賃5万円が苦しい。
じゃあ3万円のところへ引っ越そう。
理屈では分かります。
でも、
敷金。
礼金。
仲介手数料。
引っ越し代。
保証会社。
荷物処分。
などが必要になります。
だから、
「家賃が高いなら引っ越せばいい」で終わらない
ことも大切です。
手元のお金が少ない状態では、引っ越し自体ができないことがあります。
だから早い段階で住まいの相談につながり、
今の住宅を維持するのか。
転居するのか。
どの支援が使えるのか。
を一緒に考えます。
生活保護も「住まいを失ってから」ではない
家賃が払えない。
食費も足りない。
収入がほとんどない。
他の制度を使っても最低限の生活が維持できない。
という状態なら、
生活保護を含めて福祉事務所へ相談します。
「家があるから生活保護は無理」
と自分で決める必要はありません。
生活保護は、最低限度の生活を保障し自立を助長する制度です。
住まいを失ってホームレス状態になるまで待つ制度ではありません。
家賃のために削らないほうがいいもの
家賃は重要です。
でも家賃を払うために、
食事をほぼ取らない。
薬をやめる。
病院へ行かない。
冷暖房を止める。
仕事に必要な交通費までなくす。
という状態になったら、生活全体が危険です。
住まいを守ることと、命や健康を削ることは同じではありません。
家賃が払えない状態は、
「もっと我慢するサイン」
ではなく、
生活全体を外部と一緒に調整するサイン
だと考えてほしいと思います。
家族を頼れない人は「住まい」を早めに守る
実家に戻れる人。
家族の家へ一時的に行ける人。
そういう人には、住まいの第二候補があります。
でも、
家族を頼れない。
実家へ戻れない。
頼れる家がない。
という場合、
今の住まいを失う影響がより大きくなります。
だからこそ、
「まだ滞納していないから」
ではなく、
払えなくなる可能性が見えた段階で相談する。
これはかなり大切です。
今日使える「家賃SOSメモ」
相談するときは、これだけ書けば十分です。【家賃SOSメモ】 家賃:月 円 滞納: なし・1か月・2か月以上 今ある現金:だいたい 円 次の収入予定: 月 日ごろ/未定 現在の仕事: 働いている・休職中・退職済み・無職 家賃が払えなくなった理由: 収入減少・失業・病気・医療費・借金返済・その他 今後も今の家賃を払えそう: はい・いいえ・分からない 今日相談したいこと: □ 今の家に住み続ける方法 □ 住居確保給付金について □ 家計を一緒に整理してほしい □ 大家・管理会社との対応 □ 引っ越しも含めて相談したい □ 退去の通知について相談したい
これを自立相談支援機関などで見せてもいい。
上手に話せなくても大丈夫です。
まとめ|家賃問題は「最後まで隠す」ほど難しくなる
家賃が払えなくなりそう。
とても言いづらいことです。
でも、
滞納前なら、
まだ選択肢を増やしやすい。
1か月遅れたら、
放置せず相談を始める。
退去が怖くなったら、
書類を持って法律・生活支援につながる。
というように、段階ごとにできることがあります。
住居確保給付金。
自立相談支援。
家計改善支援。
法律相談。
転居を含めた住まい支援。
一つだけですべて解決しなくてもいい。
そして、
「家賃を払えなくなった自分はダメだ」
という問題にしないこと。
収入が減れば、家賃負担は重くなります。
病気になれば働けないことがあります。
就職がうまくいかないこともあります。
人生には予定外があります。
大切なのは、
家賃が払えないことを隠し続けて、住まいまで失ってしまうことではありません。
住まいを守るために、早く外へつながること。
まだ滞納していなくてもいい。
「来月が危ない」
だけでもいい。
相談は、家を失った人だけのものではありません。
今ある家を守るためにも使えます。
40代からの生活再建では、
住まいは大きな土台です。
だから、
最後まで一人で抱えない。
払えなくなる前に。
1か月遅れた段階で。
退去が怖くなったときには、なおさら。
一つずつ、使える手を増やしていく。
これからを、わたしから。