40代、車に乗れなくなったらどう暮らす?――地方で家族を頼れない人の「移動できる老後」を今から考える
地方で暮らしていると、
車があることを前提に生活ができています。
仕事。
スーパー。
病院。
ドラッグストア。
役所。
美容院。
動物病院。
どこへ行くにも車。
だから、
「高齢になったら免許を返納すればいい」
と言われても、
「返納したあと、どうやって生きるの?」
という問題が残ります。
家族が送迎してくれる。
近くに子どもがいる。
夫婦どちらかが運転できる。
そんな人なら、車をやめても生活できるかもしれません。
でも、
一人暮らし。
家族を頼れない。
実家にも戻れない。
そういう人にとって、運転できなくなることは、
単なる交通手段の変更ではありません。
生活範囲そのものが失われる可能性がある問題
です。
だから40代の今から、
「何歳まで運転する?」
より先に、
「もし明日、車に乗れなくなったら私は暮らせる?」
と考えてみたいと思います。
- 車をやめる理由は「高齢」だけではない
- 地方では「免許返納=自由を失う」ことがある
- まず見るのは「車なしで生活できる半径」
- 病院へどう行く?を最優先にする
- 「タクシーは高い」でも、車より安いこともある
- バスがあるだけでは足りない。「使えるバス」かを見る
- デマンド交通・コミュニティバスも調べてみる
- 障害がある人は「移動支援」という選択肢もある
- 免許返納後の支援は地域によって違う
- 家族を頼れない人は「送迎してくれる前提」を消して考える
- 買い物は「店舗まで行く」以外にも増えている
- 「運転し続けられる家」ではなく「運転しなくても暮らせる家」
- 自転車は中間の移動手段になる。でも「一生乗れる」前提にはしない
- 移動できなくなると「人とのつながり」まで失う
- 「移動費」を老後予算に入れておく
- 今からできる「車なし生活テスト」
- 今日できる「移動できる老後チェック」
- まとめ|免許を返す準備ではなく「自由を失わない準備」をする
車をやめる理由は「高齢」だけではない
免許返納というと、70代や80代の話に感じます。
でも、車に乗れなくなる理由は高齢だけではありません。
病気。
けが。
視力。
薬の影響。
体調。
認知機能。
事故。
経済的な理由。
突然、運転を続けられなくなることもあります。
警察庁では、加齢などによって安全運転に不安を感じる人のために安全運転相談窓口を設け、運転継続についての助言や自主返納制度などの情報提供を行っています。自主返納も制度として用意されています。
だから、
「70歳になったら考える」
ではなく、
40代から“車なし生活の予備プラン”を持っておく。
それくらいでもいいと思います。
地方では「免許返納=自由を失う」ことがある
国土交通省自身、高齢者の免許非保有者や自主返納者が増える一方で、
公共交通がなくなると生活できなくなるのではないかという不安
があることを資料で示しています。
実際、地域公共交通は厳しい状況にあります。
人口減少。
利用者減少。
運転手不足。
路線バスの縮小。
こうした問題が重なり、「交通空白」が生じている地域もあります。国土交通省も、公共交通を生活に欠かせないサービスと位置づけ、地域ごとの交通再構築を進めています。
つまり、
「車をやめれば公共交通を使えばいい」
で済まない地域があります。
だから住まい選びと移動は、別々に考えられません。
まず見るのは「車なしで生活できる半径」
地図を開いてみてください。
自宅から、
スーパー。
病院。
薬局。
コンビニ。
銀行やATM。
役所。
バス停。
駅。
これらがどのくらい離れているでしょう。
私は、
「車なし生活半径」
として見てみると分かりやすいと思います。
徒歩10分。
徒歩20分。
自転車。
バス。
タクシー。
何を使えば行けるかを書きます。
今は車で5分でも、
徒歩なら50分。
という場所もあります。
車を使っていると距離感が分からなくなるので、
一度、
「車を使わない前提」で地図を見る
ことが大切です。
病院へどう行く?を最優先にする
買い物は、
ネットスーパー。
宅配。
通販。
で補えることがあります。
でも医療は、
完全にオンラインでは済まないことがあります。
採血。
検査。
処置。
専門外来。
通院。
だから、
「車がなくなったらどうする?」
を考えるとき、
私はまず病院を見たいと思います。
徒歩。
バス。
鉄道。
タクシー。
福祉的な移動支援。
どの手段があるか。
そして、
往復いくらかかる?
まで確認します。
月2回通院。
往復タクシー4,000円。
なら、
月8,000円。
これは将来の生活費です。
つまり、
交通費も老後の医療費の一部
として考えます。
「タクシーは高い」でも、車より安いこともある
タクシーは高い。
確かに1回の金額は高く見えます。
でも、車には、
車両代。
ガソリン。
保険。
税金。
車検。
修理。
タイヤ。
駐車場。
があります。
年間で見ると、かなりの金額です。
だから、
運転回数が減った老後なら、
車を維持するより、
必要なときだけタクシーを使うほうが家計に合う場合もあります。
ここで大切なのは、
「タクシーなんてぜいたく」
と決めつけないこと。
車を持たない代わりに使う生活インフラ
として考えます。
バスがあるだけでは足りない。「使えるバス」かを見る
自宅近くにバス停がある。
それだけで安心してはいけません。
確認するのは、
何時から何時まで?
1時間に何本?
病院の受付時間に間に合う?
帰りの便はある?
日曜も走る?
雪や悪天候でも使える?
です。
1日2本しかないバスなら、
生活の自由度はかなり低くなります。
だから、
公共交通があるかではなく、生活に使えるか
を見る。
ここが大事です。
デマンド交通・コミュニティバスも調べてみる
地域によっては、
予約型乗合交通。
デマンドタクシー。
コミュニティバス。
乗合タクシー。
などがあります。
国土交通省は、人口減少や運転手不足が進む地域で、バス・タクシーだけに限らず、地域のさまざまな輸送資源を組み合わせて移動手段を確保する取り組みを進めています。
名前は自治体によって違います。
だから市区町村サイトで、
「地域名+デマンド交通」
「地域名+高齢者 移動支援」
「地域名+コミュニティバス」
などを調べます。
40代の今すぐ使わなくても、
自分の地域には何がある?
を知っておくと安心です。
障害がある人は「移動支援」という選択肢もある
障害がある人の場合、自治体によっては地域生活支援事業の移動支援事業を利用できる場合があります。
厚生労働省は、地域生活支援事業の主な市町村事業として、移動支援、相談支援、意思疎通支援などを挙げています。ただし、自治体が地域の状況に応じて実施する仕組みなので、利用条件や内容には地域差があります。
また、障害特性によっては、同行援護や行動援護などの障害福祉サービスが対象になる場合もあります。
つまり、
「車に乗れない=自力で全部歩くしかない」
とは限りません。
自分が対象になる可能性のある移動支援について、相談支援や自治体窓口で確認できます。
免許返納後の支援は地域によって違う
警察庁によると、免許を自主返納した人に対しては、自治体や事業者が地域の実情に応じてさまざまな支援を実施しています。
たとえば、
バス。
タクシー。
店舗。
交通事業者。
などの優待がある地域もあります。
ただし、全国共通ではありません。
だから、
「免許返納したら国から交通費がもらえる」
という制度ではないことにも注意します。
住んでいる地域によって使える支援が違う。
だから老後の住まいを決めるときは、
免許返納後の交通支援まで確認すると、かなり実用的です。
家族を頼れない人は「送迎してくれる前提」を消して考える
老後の生活設計をすると、
無意識に、
「病院は誰かに乗せてもらえば」
「買い物は家族に頼めば」
となることがあります。
でも家族を頼れない人は、
その前提を最初から外します。
少し厳しく感じますが、
そのほうが現実的です。
代わりに、
バス。
タクシー。
宅配。
福祉サービス。
オンライン診療。
移動販売。
自治体交通。
を組み合わせます。
家族一人の代わりを探すのではなく、5つくらいの小さなサービスで分担する。
この発想が大切です。
買い物は「店舗まで行く」以外にも増えている
車が使えなくなると、
「買い物難民になる」
という不安があります。
でも買い物については、
ネットスーパー。
生協。
食材宅配。
ドラッグストア配送。
移動販売。
コンビニ配送。
など、店へ直接行かなくても買える選択肢があります。
もちろん地域差はあります。
ただ、
老後の住まいを見るとき、
「スーパーまで徒歩何分?」
だけではなく、
「配達エリアに入っている?」
も確認するといい。
これからは、距離だけでなく配送サービスも生活インフラになります。
「運転し続けられる家」ではなく「運転しなくても暮らせる家」
前の記事で、
「老後まで住める家」
を考えました。
その中でも、かなり大きい条件がこれです。
車に乗らなくても暮らせるか。
今45歳なら、
25年後は70歳。
現在の車中心の生活を、
そのまま70代まで延長する前提にしなくていい。
次に引っ越すとき、
家賃が5,000円高くても、
スーパー徒歩5分。
病院バス一本。
タクシー会社がある。
福祉相談が近い。
という場所を選ぶ。
その5,000円は、
単なる家賃アップではなく、
将来の移動費と安心を買っている
とも考えられます。
自転車は中間の移動手段になる。でも「一生乗れる」前提にはしない
40代、50代なら、
自転車。
電動アシスト自転車。
がかなり便利です。
車を使う距離を減らし、
スーパー。
病院。
駅。
まで行けるかもしれません。
ただし、
自転車も身体能力や天候の影響を受けます。
雨。
雪。
猛暑。
体調不良。
高齢。
だから、
自転車は便利な中間手段として使いながら、
最終的には徒歩・公共交通・タクシーでも生活できる形を考えておく。
このくらいが安心です。
移動できなくなると「人とのつながり」まで失う
車の問題は、病院や買い物だけではありません。
友人に会う。
趣味へ行く。
美容院。
図書館。
地域活動。
外食。
こうしたものも移動です。
車をやめた途端、
必要最低限の外出しかしなくなり、
家に閉じこもる。
ということもあります。
だから、
移動できることは、孤立を防ぐことでもあります。
老後の交通費は、
生活費だけでなく、
人とつながり続けるためのお金
とも考えたいと思います。
「移動費」を老後予算に入れておく
老後の生活費を出すとき、
家賃。
食費。
光熱費。
医療。
は計算します。
でも、
移動費を忘れがちです。
車を持つなら、
車維持費。
持たないなら、
バス。
タクシー。
電車。
デマンド交通。
を入れます。
たとえば、
月1万円。
老後の移動費として最初から見ておく。
そうすれば、
「タクシーを使うのがもったいない」
ではなく、
「これは生活費として用意していたお金」
になります。
今からできる「車なし生活テスト」
私は一度、
月に1日だけ車を使わない日
を作ってみるのも面白いと思います。
その日に、
スーパーへ行く。
病院へ行く想定をする。
駅へ行く。
バスを調べる。
タクシー料金を見る。
そうすると、
「思ったより困らない」
かもしれません。
逆に、
「車なしでは完全に詰む」
と分かるかもしれません。
どちらでもいいのです。
40代の今なら、
住まい。
交通。
働き方。
を見直す時間があります。
困る未来を先に小さく体験してみる。
これはかなり役立ちます。
今日できる「移動できる老後チェック」
スマートフォンにこれだけ作ってみてください。【移動できる老後チェック】 車が使えない場合、 スーパー: 徒歩 分 バス あり・なし 宅配 あり・なし・不明 病院: 徒歩 分 バス・電車 あり・なし タクシー往復 約 円 薬局: 徒歩 分 役所・相談窓口: 行き方: 地域のコミュニティバス: あり・なし・不明 デマンド交通: あり・なし・不明 障害の移動支援: 対象かもしれない・対象外・不明 タクシー会社: ある・ない・不明 車なしでも今の家に住めそう: ○・△・× 一番困りそうなこと: 次に調べること:
全部埋めなくていいです。
「不明」が一つ見つかったら、
次に調べるものが一つ分かったということです。
まとめ|免許を返す準備ではなく「自由を失わない準備」をする
40代の今から、
免許返納を決める必要はありません。
車が必要なら、使えばいい。
でも、
車しかない生活
には少しずつ別の道を作っておく。
スーパーは宅配できる。
病院はバスでも行ける。
必要ならタクシー。
自治体のデマンド交通。
障害があれば移動支援を確認する。
そして次に住む家は、
車がなくても暮らせる場所を少し意識する。
そんなふうに、
一つずつ代替手段を増やします。
警察庁は免許の自主返納制度や安全運転相談を用意し、国土交通省も高齢化や人口減少を踏まえて地域の移動手段確保を重要な課題として進めています。
でも、
制度があるだけでは生活できません。
自分の家から病院へどう行くのか。
スーパーへどう行くのか。
それを具体的にしておくことが大切です。
家族を頼れないからこそ、
「誰かに送ってもらう」
ではなく、
自分一人でも移動できる仕組みを、地域のサービスと一緒に作っておく。
車をやめる準備ではありません。
車に乗れなくなっても、暮らしの自由を失わない準備。
です。
40代なら、まだその準備を始められます。
住まいを選ぶとき。
次に車を買い替えるとき。
引っ越しを考えるとき。
少しずつ、
「車なしでも暮らせる?」
を条件に加えていく。
それが、
家族を頼れない人の、
移動できる老後
を作ることにつながります。
これからを、わたしから。