40代、NISAとiDeCoはどっちを優先する?――お金に余裕がない人ほど知っておきたい違い
40代になると、老後のお金が急に現実味を帯びてきます。
「NISAはやったほうがいい」
「iDeCoは節税になる」
そんな言葉を見かけるたびに、
「結局、どっちを先にやればいいの?」
と迷う人も多いと思います。
しかも、お金に余裕がある人なら「両方やればいい」で終わるかもしれません。
でも、毎月使えるお金が限られている人にとっては、そう簡単ではありません。
月5,000円。
1万円。
せいぜい2万円。
そのくらいしか将来に回せないとき、
NISAとiDeCo、どちらを優先するかはかなり大事です。
今回は、40代から老後資金を作る人向けに、
NISAとiDeCoの違いをできるだけ普通の言葉に置き換えながら、
「自分ならどちらから始めればいい?」
まで考えてみます。
- まず結論。お金に余裕が少ないなら「使える自由」を先に考える
- NISAとiDeCoを「2つの貯金箱」で考える
- 「節税になるならiDeCoのほうが得?」とは限らない
- まず生活防衛資金が先
- お金に余裕が少ないなら、NISAを先に考えやすい理由
- 逆にiDeCoを優先しやすいのはこんな人
- 収入が低いと、iDeCoの節税メリットが小さいこともある
- iDeCoには「手数料」もある
- NISAには所得控除がない
- 40代なら「NISA→iDeCo」の順番もあり
- iDeCoは2026年12月に制度変更予定
- 「NISAとiDeCo、どっちが儲かる?」は少し違う質問
- 「絶対に60歳まで使わない」と言い切れる?
- お金に余裕がない人の「優先順位」を作るなら
- 「月1万円しかない」ならどうする?
- 投資しない月があっても人生は失敗しない
- 「節税」より大切なのは「選択肢」
- 今日やるなら「私は60歳まで使わないお金を持っている?」を考える
- まとめ|お金に余裕がない人ほど「自由に使えるお金」をなくさない
まず結論。お金に余裕が少ないなら「使える自由」を先に考える
NISAとiDeCo。
どちらも将来のお金を作るために使える制度です。
でも、性格はかなり違います。
すごく簡単に言うと、
NISAは「必要なら途中で使える、自由度の高い資産形成」
iDeCoは「老後まで使わない代わりに、税金面のメリットが大きい私的年金」
です。
金融庁によると、NISAは投資による売却益や配当・分配金を非課税にする制度です。必要になれば保有商品を売却して現金化できます。
一方、iDeCoは国民年金基金連合会が実施する私的年金制度です。原則として老後のために積み立てる仕組みなので、基本的に60歳になるまで自由に引き出すことはできません。
つまり、お金に余裕が少ない人ほど最初に考えたいのは、
「このお金を60歳まで使わなくても本当に大丈夫?」
ということです。
NISAとiDeCoを「2つの貯金箱」で考える
難しい制度説明を一度やめて、貯金箱に例えてみます。
NISAの貯金箱
中身は投資なので増えることも減ることもあります。
でも、
病気。
失業。
引っ越し。
住宅。
まとまった支出。
などがあれば、途中で売却して使うことができます。
だから、
未来のために育てながら、必要なら途中で取り出せる箱
です。
iDeCoの貯金箱
こちらも投資商品などで運用します。
大きな特徴は、
原則として老後まで鍵がかかっていること。
その代わり、税金面で強いメリットがあります。
掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、支払った掛金が所得控除になります。国税庁も、iDeCoの個人型年金加入者掛金がこの所得控除の対象であることを案内しています。
つまり、
使いやすさならNISA。
老後への強制力と税制メリットならiDeCo。
という違いがあります。
「節税になるならiDeCoのほうが得?」とは限らない
iDeCoの大きな魅力は、掛金の所得控除です。
たとえば毎月1万円なら、年間12万円を拠出します。
その12万円が所得控除の対象になります。
そのため、所得税や住民税を負担している人なら、税負担が軽くなる可能性があります。
ここだけを見ると、
「じゃあNISAよりiDeCoのほうが得じゃない?」
と思います。
でも、大切なのは、
税金が安くなることと、生活に余裕があることは別
だということです。
たとえば、
貯金20万円。
毎月ギリギリ。
でも節税になるからiDeCoへ月2万円。
そんな状態で突然10万円必要になったらどうでしょう。
NISAなら値動きには注意が必要ですが、売却して現金化する選択があります。
iDeCoは原則として老後まで引き出せません。
つまり、
節税できているのに、今の生活のお金が足りない
ということが起こり得ます。
だから、お金に余裕がない人ほど、
「節税額」だけでiDeCoを決めないことが大切です。
まず生活防衛資金が先
ここまで「わたしから。」のお金の記事で何度も出てきた、
生活防衛資金。
これが、NISAとiDeCoを考える前にも重要です。
もし、
貯金がほとんどない。
仕事が不安定。
病気や休職の可能性がある。
実家や家族を経済的に頼りにくい。
という状況なら、
私はまず、
すぐ使える現金
を作ることを優先したほうがいいと思います。
5万円。
10万円。
最低生活費1か月分。
その次に3か月分。
そこまで作ってから、NISAやiDeCoを考える。
投資や節税は大切ですが、
「何かあったとき生活できる」ことのほうが先
です。
お金に余裕が少ないなら、NISAを先に考えやすい理由
では、
生活防衛資金がある程度できた。
でも毎月1万円しか将来へ回せない。
という場合。
私は、一般論としてはNISAから検討しやすい人が多いと思います。
理由は、途中で使えるからです。
40代から60歳までの間には、何が起こるか分かりません。
転職。
病気。
介護。
車の買い替え。
住まい。
仕事を減らしたい時期。
いろいろあります。
NISAなら、その資産を必ず使うべきという意味ではありませんが、
「必要なら使える」
という逃げ道があります。
この自由は、お金に余裕が少ない人ほど大きいです。
逆にiDeCoを優先しやすいのはこんな人
一方、iDeCoが向いている人もいます。
たとえば、
生活防衛資金が十分ある。
収入が安定している。
税金をある程度負担している。
60歳まで使わなくても困らない余裕資金がある。
老後資金を途中で使ってしまいそうなので強制的に残したい。
という人です。
iDeCoは、
途中で使えない
という弱点が、
逆に、
老後資金を確実に残しやすい
という強みにもなります。
「あると使ってしまう」
という人にとっては、老後用として分離できるのはメリットです。
収入が低いと、iDeCoの節税メリットが小さいこともある
これはかなり大切です。
iDeCoは、
「掛金が所得控除になる」
とよく紹介されます。
でも、所得控除のメリットは、現在どのくらい所得税・住民税を払っているかによって変わります。
もともとの課税所得が小さい人や、所得税がほとんどかからない人の場合、
掛金控除による節税メリットも小さくなる可能性があります。
国税庁が示しているとおり、iDeCoの掛金は所得控除ですが、「掛金そのものが国から返ってくる制度」ではありません。
だから、
「iDeCoなら必ずすごく得」
ではありません。
自分の税負担によって違います。
ここは、低所得の人ほど知っておいてほしいポイントです。
iDeCoには「手数料」もある
もう一つ、iDeCoでは手数料も確認します。
加入時や掛金納付時、金融機関によっては運営管理手数料などがかかります。
金額自体は金融機関や状況によって違いますが、
月5,000円など少額で積み立てる場合、
手数料の割合が相対的に大きく見えることもあります。
だから、
「iDeCoをやるか」
だけでなく、
どこの金融機関で。
どんな手数料で。
どんな商品を選ぶか。
まで確認します。
NISAには所得控除がない
一方、NISAにも弱点があります。
NISAで毎月1万円投資しても、
その1万円は所得控除になりません。
つまり、
NISAにお金を入れたから今の所得税が安くなる
わけではありません。
NISAの税制メリットは、
投資して増えた利益や配当・分配金が非課税になることです。
iDeCoとは、税金の優遇されるタイミングが違います。
かなり簡単に言えば、
iDeCo → 入れるときにも税制メリットがある
NISA → 運用して利益が出たときの税金がかからない
という違いです。
40代なら「NISA→iDeCo」の順番もあり
たとえば、毎月将来へ回せるお金が1万円だとします。
いきなり、
NISA5,000円。
iDeCo5,000円。
と分けても構いません。
でも、
生活に余裕があまりないなら、
最初はNISA1万円。
という方法もあります。
そして、
生活防衛資金が増えた。
給料が上がった。
ローンが終わった。
固定費が下がった。
となったら、
NISA1万円+iDeCo5,000円。
さらに余裕ができたら、
NISA1万円+iDeCo1万円。
というように、
後からiDeCoを足す
方法もあります。
最初から全部完成させなくていいのです。
iDeCoは2026年12月に制度変更予定
ここは現在の情報として重要です。
厚生労働省によると、2026年12月1日からiDeCoなどの拠出限度額が引き上げられる予定です。
会社員など第2号加入者については、企業年金と共通する拠出限度額が月6.2万円へ引き上げられ、自営業者など第1号加入者についてもiDeCoと国民年金基金の共通限度額が月7.5万円へ引き上げられる予定です。
ただし、
「枠が増える=そこまで積み立てたほうがいい」
ではありません。
NISAと同じです。
上限は、
使える最大額
であって、
ノルマ
ではありません。
月5,000円でも、自分に合っていればいいのです。
「NISAとiDeCo、どっちが儲かる?」は少し違う質問
ここもよく誤解されます。
NISAとiDeCoそのものが運用してくれるわけではありません。
どちらも、
投資信託などの商品を選んで運用します。
だから、
NISAだから増える。
iDeCoだから増える。
というわけではありません。
運用結果は、選んだ商品や市場環境によって変わります。
制度としての違いは、
税金。
引き出しやすさ。
掛金。
利用条件。
などです。
だから比較するなら、
「どちらが儲かる?」
ではなく、
「どちらの仕組みが私の生活に合っている?」
と考えたほうが分かりやすいです。
「絶対に60歳まで使わない」と言い切れる?
iDeCoを考えるとき、私はこの質問がかなり大事だと思います。
そのお金、本当に60歳まで使わなくても大丈夫?
今45歳なら約15年。
40歳なら約20年。
その間に、
病気。
仕事。
住居。
親の介護。
自分の生活。
何があるか分かりません。
だから、
少しでも不安があるなら、
まずNISA。
さらに余裕がある部分だけiDeCo。
という考え方でもいいと思います。
これはiDeCoが悪いという話ではありません。
むしろ、
iDeCoは「老後専用」と割り切れる人ほど強い制度
です。
お金に余裕がない人の「優先順位」を作るなら
ここまでを、一度単純にします。
私なら、
①毎月の生活を黒字にする
↓
②生活防衛資金を作る
↓
③NISAを少額から始める
↓
④さらに余裕ができたらiDeCoを検討する
という順番を基本に考えます。
ただし、
税負担が大きい。
収入が安定している。
現金も十分ある。
という人なら、iDeCoを早めに組み合わせる意味もあります。
つまり、
全員同じ順番ではありません。
自分の生活条件で決めます。
「月1万円しかない」ならどうする?
たとえば、
毎月将来へ回せるのが1万円。
生活防衛資金はまだ少ない。
なら、
5,000円を現金。
5,000円をNISA。
でもいい。
あるいは、
1万円全部を生活防衛資金。
でもいい。
生活防衛資金ができたら、
1万円をNISA。
そのあと、
さらに5,000円余裕ができたらiDeCo。
でもいい。
重要なのは、
NISAもiDeCoも「今すぐ全部やらなければ損」ではない
ということです。
投資しない月があっても人生は失敗しない
40代になると、
「時間がない」
という焦りがあります。
だから、
毎月絶対積み立てなければ。
iDeCoもNISAもやらなければ。
と思ってしまいます。
でも、
医療費が増えた月。
車検。
引っ越し。
収入が減った。
そんなときは、
未来のお金より今の生活を守る
ほうが大切です。
資産形成は長期戦です。
途中で金額を調整しながら続ければいい。
「節税」より大切なのは「選択肢」
私は、NISAとiDeCoを考えるとき、
単純な損得だけではなく、
未来の選択肢を増やせるか
で見たいと思っています。
NISAには、
必要なら途中で使える自由があります。
iDeCoには、
税制優遇を受けながら老後資金を残しやすい強さがあります。
だから、
どちらが上。
ではありません。
自分が今必要としている自由が、
「使える自由」なのか。
「老後まで残す仕組み」なのか。
それで選びます。
今日やるなら「私は60歳まで使わないお金を持っている?」を考える
この記事を読んで、
「結局まだ分からない」
でも大丈夫です。
今日することは一つ。
スマートフォンのメモに、
「60歳まで使わなくても大丈夫なお金は、毎月いくら?」
と書いてみます。
0円でもいい。
5,000円でもいい。
1万円でもいい。
もし、
「0円」
なら、今はiDeCoを急がなくてもいいかもしれません。
生活防衛資金やNISAを先に考える。
もし、
「1万円なら確実に使わない」
と思えるなら、iDeCoを調べる価値があります。
これだけです。
まとめ|お金に余裕がない人ほど「自由に使えるお金」をなくさない
NISAとiDeCo。
どちらを優先する?
その答えは、
今の生活による
です。
NISAは、
利益が非課税。
必要になれば売却できる。
自由度が高い。
iDeCoは、
掛金が所得控除になる。
老後まで引き出しにくい。
だからこそ老後資金として残しやすい。
この違いがあります。
お金に十分余裕があるなら、両方使う方法があります。
でも、余裕が少ない人なら、
無理に両方やらなくていい。
まず生活を守る。
現金を持つ。
それからNISA。
さらに余裕ができたらiDeCo。
そんな順番でも構いません。
老後のための制度を使うことで、
今の生活が苦しくなったら意味がありません。
40代からのお金づくりは、
節税額を最大化する競争でも、
NISA枠やiDeCo枠を全部埋めるゲームでもありません。
今の自分を守りながら、
未来の自分にも少しずつ渡していくこと。
月5,000円でも。
1万円でも。
できるところから。
「全部やらなきゃ」ではなく、
「今の私なら、ここまでならできる」
を選ぶ。
それが長く続く資産形成だと思います。
これからを、わたしから。