相談したけれど「対象外です」と言われたら?――制度のはざまに落ちたとき、次にすること

勇気を出して、相談した。

何日も迷って。

電話する内容をメモして。

緊張しながら役所へ行って。

これまでの仕事や病気、お金のことまで話した。

ところが返ってきた言葉が、

「この制度の対象ではありません」

だった。

その瞬間、

「じゃあ、私はどうすればいいの?」

と思うことがあります。

もう一度別の窓口へ相談する力なんて残っていない。

「やっぱり自分で何とかするしかないんだ」

と思ってしまうかもしれません。

でも、ここで知っておいてほしいことがあります。

一つの制度の対象外だったことと、あなたに支援が必要ないことは、まったく別の話です。

制度には、それぞれ条件があります。

年齢。

収入。

資産。

住んでいる場所。

雇用状況。

障害の有無。

病気の状態。

世帯の状況。

その他さまざまな条件によって、

「この制度には該当しません」

となることがあります。

でも、

制度の条件から少し外れていることと、

現実の生活が困っていないことは同じではありません。

その間に生まれる場所。

それが、

「制度のはざま」

です。

今回は、そこに落ちてしまったとき、

どうすればいいのかを考えます。

「対象外」は「困っていない」という意味ではない

ここを、最初に切り分けておきたいと思います。

たとえば、

「収入が基準より少し高いので対象外です」

と言われたとします。

でも実際には、

家賃。

医療費。

車。

借金。

介護。

通院。

さまざまな支出があり、生活はぎりぎりかもしれません。

あるいは、

「働いているので対象ではありません」

と言われたとしても、

その仕事を続けることが限界に近づいていることもあります。

つまり、

制度は一定の基準で判断しますが、

人間の生活は、基準線できれいに分けられるものではありません。

「あと1万円収入が低ければ対象」

「あと少し状態が違えば利用できる」

そんなことも起こります。

だから、

対象外と言われたときに、

「私程度では相談してはいけなかったんだ」

と考えないでほしいと思います。

あなたが困っている事実まで否定されたわけではありません。

なぜ「制度のはざま」が生まれるのか

日本の支援制度は、

高齢。

障害。

生活困窮。

就労。

医療。

介護。

子育て。

住まい。

など、分野ごとに作られてきました。

それぞれに専門性があり、それ自体は必要なことです。

ところが実際の人生では、

問題は一つずつ起きてくれません。

たとえば、

病気で仕事を休む。

収入が減る。

家賃が苦しくなる。

借金を使う。

返済が増える。

さらに体調が悪くなる。

仕事を辞める。

というようにつながります。

これは、

医療?

仕事?

お金?

住まい?

福祉?

どれでしょう。

全部です。

厚生労働省も現在、福祉・介護・保健医療・住まい・就労・教育・社会的孤立など、複数の課題が絡むケースについて、一つの支援機関だけで対応するのが難しいことを前提に、複数機関が役割を分担する包括的な支援体制を進めています。

つまり、

「どこの制度にもきれいに当てはまらない」

という問題そのものが、すでに国の政策課題として認識されているのです。

「対象外です」と言われたら、次に聞く一言

ここからは実際に使える方法です。

窓口で対象外と言われたとき、

余力があれば、これだけ聞いてみてください。

「では、私のような状況の場合、次にどこへ相談すればいいでしょうか?」

制度の詳しい説明を全部理解しなくても構いません。

次の窓口を一つ教えてもらう。

できれば、

窓口名。

電話番号。

担当部署。

を書いてもらいます。

さらに言えそうなら、

「そちらへ相談するとき、今お話しした内容をもう一度全部説明する必要がありますか?」

と聞いてみてもいいでしょう。

機関同士で連携できる場合もあります。

厚生労働省が示す包括的支援の考え方でも、一つの機関だけで解決することが難しい場合、他機関につなぎ、複数機関で役割を分担することが想定されています。

だから、

「こちらでは対応できません」で道を終わらせないこと。

次につないでもらうことが大切です。

次の相談先が分からないなら「生活全般の相談」へ戻る

仕事なのか。

お金なのか。

病気なのか。

障害なのか。

住まいなのか。

自分でも分からなくなった。

そんなときは、

生活全般を扱う相談窓口へ戻る

という方法があります。

代表的なのが、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関です。

名前は少し難しいですが、

普通の言葉にすると、

「生活のどこから立て直せばいいか分からないときの相談窓口」

と考えると分かりやすいと思います。

厚生労働省では、仕事が見つからない、働きたくても働けない、家賃が払えない、住むところがない、社会に出ることに不安があるなど、さまざまな困難によって生活に困っている人を制度の対象として案内しています。

相談者一人ひとりの状況に合わせて、仕事、住まい、家計など必要な支援を考える仕組みです。

だから、

「○○制度を利用したいです」

と制度名を決めて行かなくてもいい。

「別の制度では対象外と言われました。でも生活には困っています」

と、そのまま伝えていいのです。

「私はまだ生活保護ほどではない」と自分で決めない

生活がかなり厳しくなったとき、

生活保護が頭に浮かぶことがあります。

でも、

「働いているから無理」

「家があるから無理」

「車があるから無理」

「親族がいるから無理」

「必要書類が全部そろっていないから無理」

と、自分で対象外だと思ってしまうことがあります。

ここは注意が必要です。

厚生労働省は、生活保護について、必要書類がそろっていなくても申請できること、住むところがなくても申請できること、同居していない親族へ先に相談することが申請の条件ではないことなどを明確に案内しています。

持ち家や自動車についても、状況によって保有が認められる場合があります。

だから、

自分で「私は対象外」と判定しない。

本当に生活が成り立たなくなりそうなら、福祉事務所へ相談して確認します。

使えるかどうかを判断するのは、検索結果やSNSではなく、制度を担当する窓口です。

「制度が使えない」なら「相談支援」を使う

ここは少し発想を変えてみます。

私たちは、

相談=制度をもらうための入口

と考えがちです。

でも、

相談そのものが支援

になることがあります。

厚生労働省の生活困窮者自立支援法では、支援について、本人の就労状況だけでなく、心身の状態や地域社会からの孤立なども踏まえ、包括的かつ早期に行うことが基本理念として定められています。

自立相談支援では、

必要な情報を提供する。

助言する。

関係機関と連絡調整する。

支援計画を作る。

といったことも支援に含まれます。

つまり、

現金給付やサービス利用にすぐつながらなかったとしても、

「次にどこへつながるかを一緒に整理してもらう」

ことができます。

制度Aが使えない。

なら制度B。

Bでも難しい。

なら医療。

就労。

住まい。

民間支援。

地域支援。

と組み合わせていく。

最初から一本の制度ですべてを解決しなくてもいいのです。

何度も同じ説明をするのがつらいなら「SOS相談メモ」を使う

前の記事で、

「SOS相談メモ」

を作りました。

これは、制度のはざまに落ちたときにも役立ちます。

窓口を移るたびに、

仕事。

病気。

障害。

収入。

家族。

住まい。

過去の経緯。

を最初から全部説明するのは、本当に疲れます。

だから、メモにまとめて見せます。

さらに、

「○月○日 ○○窓口へ相談→対象外」

と記録します。

理由も分かれば、

「収入要件のため対象外」

などと書きます。

こうしておけば、

次の支援者に、

「ここにはすでに相談しました」

と伝えられます。

そして、

「では次にどこへ行けばいいですか?」

から話を始められます。

「対象外だった記録」は失敗の記録ではない

これは意外と大切です。

相談した。

対象外だった。

すると、

「時間を無駄にした」

と思ってしまいます。

でも実際には、

一つ選択肢を確認できた

ということでもあります。

たとえば、

制度A 対象外。

制度B 相談中。

医療 利用中。

家計相談 未相談。

というように、少しずつ地図ができます。

最初は、

「何も分からない」

だったものが、

「これは違った。次はここ」

になります。

生活を立て直すとき、

一発で正解へたどり着けるとは限りません。

制度探しは、ときに迷路のようです。

だから、

行き止まりを一つ確認したことも、前進

と考えていいと思います。

相談先で冷たくされたら?

これも書いておかなければならないと思います。

制度だけでなく、

人との相性もあります。

勇気を出して相談したのに、

冷たく感じた。

話を聞いてもらえなかった。

「それくらいなら大丈夫でしょう」

と言われた。

そういう経験をすると、

二度と相談したくなくなります。

でも、

一人の担当者の反応=社会全体の答え

ではありません。

可能なら、

別の担当者。

別の窓口。

別の機関。

へ相談してみる。

支援者がいるなら、

「前回うまく話せなかったので一緒に行ってほしい」

と頼む。

それでもいいのです。

相談する側が、すべての相性の悪さに耐える必要はありません。

40代になると「これ以上恥をかきたくない」と思うことがある

40代で、

仕事。

お金。

病気。

障害。

住まい。

そういうことを相談するのは、勇気がいります。

「この年齢でこんなこともできないのか」

と思われるのでは。

「もっとちゃんとしておけばよかったのに」

と言われるのでは。

そんな不安もあります。

しかも、一度対象外と言われると、

「やっぱり私が甘えていたのかな」

と思ってしまう。

でも、制度を利用できるか確認することと、

甘えることは違います。

生活を維持するために、

使える制度を確認する。

支援者につながる。

必要な調整をする。

これは、

生活を守るための行動

です。

「制度のはざま」は、本人だけで解決する問題ではない

ここは「わたしから。」で、これからも大切にしたい視点です。

制度に当てはまらない人がいると、

「本人がもっと調べればいい」

「別の制度を探せばいい」

と言われることがあります。

でも国自身も、一つの支援機関では対応しにくい複雑な生活課題を認識しています。

厚生労働省が示す重層的支援体制整備事業では、

福祉。

介護。

保健医療。

住まい。

就労。

教育。

社会的孤立。

など、複数の問題を抱える人について、属性を問わず相談を受け止め、必要に応じて複数の支援機関が役割分担することを想定しています。

さらに、

すぐ相談窓口まで来られない人に対して、支援側からつながりを作る「アウトリーチ」や、つながり続けること自体を重視する「伴走型支援」という考え方も示されています。

これはとても重要だと思います。

なぜなら、

制度に人を合わせるだけでは救えない人がいる

ということだからです。

人には、それぞれ違う事情があります。

なら、

制度Aだけ。

制度Bだけ。

ではなく、

必要な支援を組み合わせる。

人を制度の形に無理やり押し込むのではなく、

その人の生活を中心に支援を組み立てる。

少しずつですが、国の制度にもそうした方向性があります。

今日やることは「もう一度全部調べる」ではない

対象外と言われたら、

また100個の制度を検索し直さなくてもいい。

今日やることは、一つです。

スマートフォンのSOS相談メモに、

「○○制度→対象外だった」

と書きます。

そしてその下に、

「次に相談する場所:____」

と一行だけ作ります。

まだ分からなければ、

「生活全般の相談窓口に聞く」

でもいい。

今日電話できなくても構いません。

次の道を一つ残しておく。

それで十分です。

まとめ|「対象外」は、あなたまで社会の外に出されたという意味ではない

勇気を出して相談した。

それなのに、

「対象外です」

と言われた。

それは、かなりつらいことだと思います。

でも、

その制度が使えないことと、

あなたに助けが必要ないことは違います。

制度Aに当てはまらない。

なら、

制度B。

相談支援。

医療。

就労。

住まい。

家計。

福祉。

地域。

別の方法を探します。

そして、一人で探せなくなったら、

「次を一緒に探してください」

と頼んでいい。

制度を知り尽くしていることが、自立ではありません。

困ったときに、

必要な場所につながりながら生活を続ける。

それも自立の一つだと思います。

40代で社会的に弱い立場になったとしても。

一つの制度から外れても。

一度相談に失敗しても。

道が全部なくなったわけではありません。

「対象外です」

と言われたら、

そこで文章を終わらせない。

そのあとに、

「では、次はどこへ行けばいいですか?」

と一行つけ足す。

それが、制度のはざまから抜ける小さな一歩になるかもしれません。

助けを求めたのに、すぐ助からなかった人まで置いていかない。

「わたしから。」は、そんな場所でありたいと思っています。

これからを、わたしから。