40代、相談窓口でうまく話せない――そのまま見せられる「SOS相談メモ」の作り方

相談したい。

でも、何から話せばいいのか分からない。

窓口へ行くと緊張してしまう。

電話だと頭が真っ白になる。

相手に質問されると、うまく答えられない。

途中で話が飛ぶ。

家に帰ってから、

「これを言えばよかった」

と思い出す。

そんな経験がある人もいると思います。

特に、心身が疲れているとき。

病気や障害があるとき。

仕事、お金、住まい、家族の問題がいくつも重なっているとき。

人に説明する力そのものが落ちています。

だから私は、

「相談は、話せる人だけが使うものではない」

と思っています。

うまく話せないなら、

書いて渡せばいい。

スマートフォンを見せてもいい。

読んでもらってもいい。

今回は、相談窓口でそのまま使える**「SOS相談メモ」**の作り方を紹介します。

相談でうまく話せないのは、珍しいことではない

相談に行く前は、

「ちゃんと説明しないと」

と思います。

でも実際の相談では、

緊張。

不安。

疲労。

過去の嫌な経験。

相手への警戒。

こうしたものが一気に出てきます。

さらに、

仕事。

病気。

お金。

家族。

住まい。

いくつもの問題が絡んでいると、

自分でも、

「どこから話せばいい?」

となります。

だから、

話がまとまらない。

順番が前後する。

一番大事なことを言い忘れる。

これは、本人がだらしないからではありません。

抱えている情報量が多すぎる

だけかもしれません。

「話す」より「見せる」に変える

相談窓口で大切なのは、

流ちょうに話すことではありません。

必要な情報が伝わること

です。

なら、方法は会話だけでなくていい。

紙に書く。

スマートフォンにメモする。

箇条書きで見せる。

それで十分です。

むしろ、支援する側にとっても、

書かれた情報があると状況を整理しやすくなることがあります。

SOS相談メモは「完璧な人生年表」にしなくていい

ここでやりがちなのが、

生まれてから今まで全部書こうとすることです。

でも、それでは作るだけで疲れます。

必要なのは、

今の相談に必要なことだけ。

です。

まずは次の5つくらいで十分です。

  • 今、一番困っていること
  • 仕事や収入の状況
  • 住まいの状況
  • 病気や障害、通院の有無
  • 今日、何を助けてほしいか

ここまでで十分です。

最初の一文は「うまく話せません」でいい

相談メモの最初に、こう書いておくと楽です。

「緊張すると、うまく話せなくなることがあります。このメモを見ながら相談させてください。」

これだけで、

「ちゃんと話さなきゃ」

という負担が少し減ります。

さらに、

「質問は一つずつお願いします」

「口頭説明だけだと理解しづらいので、できれば書いて教えてください」

といった、自分に必要な配慮を書いてもいいです。

そのまま使える「SOS相談メモ」テンプレート

以下は、そのままコピペして使えます。【SOS相談メモ】 緊張すると、うまく話せなくなることがあります。 このメモを見ながら相談させてください。 ■ 今、一番困っていること (例:仕事を続けるのがつらい/お金が足りない/家賃が不安/制度が分からない) : ■ 今の仕事・収入 仕事: 雇用形態: だいたいの月収: 仕事を休んでいる/辞めたい/探している: ■ 住まい 一人暮らし/家族と同居/その他: 家賃: 住み続けられるか不安がある: はい・いいえ ■ 病気・障害・通院 通院している: はい・いいえ 病気や障害、生活に影響していること: : ■ 家族や頼れる人 家族を頼れる: はい・いいえ・一部だけ 相談できる人: : ■ お金について 今、生活費が足りない: はい・いいえ 家賃・公共料金・税金などの支払いで困っている: : 借金やリボ払いがある: はい・いいえ ■ 自分で難しいこと (例:電話、書類、数字、説明、役所へ行くこと、予定管理) : ■ 今日、知りたいこと (例:どの制度を使えるか/どこへ相談すればいいか/仕事を辞める前に何を確認するか) : ■ 今日、お願いしたいこと □ 使える制度を一緒に整理してほしい □ 次の相談先を教えてほしい □ 申請の流れを教えてほしい □ 書類を一緒に確認してほしい □ 仕事について相談したい □ 住まいについて相談したい □ お金について相談したい □ その他: ■ 相談するときの希望 □ 質問は一つずつしてほしい □ ゆっくり説明してほしい □ できれば紙や文字でも説明してほしい □ 自分で説明しにくいので、このメモを読んでほしい □ 付き添いの人と一緒に話したい

このくらいで十分です。

全部埋めなくても構いません。

分からないところは、

「分からない」

と書いていいのです。

電話相談なら「最初の30秒」だけ用意する

電話は特に緊張します。

だから最初から全部話そうとしなくていい。

最初の一言だけ決めます。

たとえば、

「生活のことで困っていて、どこへ相談すればいいか分からないので電話しました」

これだけ。

そのあと相手が質問してくれます。

もう少し言えるなら、

「仕事とお金と体調の問題が重なっています。うまく説明できないので、質問してもらえると助かります」

でも十分です。

メールや問い合わせフォーム用の短いテンプレート

電話が苦手なら、地域によってはメールや問い合わせフォームが使える場合があります。

そのときは、これくらいで大丈夫です。件名:生活相談について 生活のことで困っており、どこへ相談すればよいか分からないため連絡しました。 仕事、収入、体調の問題が重なっていて、自分だけでは整理できません。 電話で話すことが苦手です。 可能であれば、メールまたは面談で相談したいです。 利用できる相談窓口や制度について教えていただけますでしょうか。

長文にしなくても大丈夫です。

相談の最初の目的は、

「ここで相談できるか確認すること」

です。

窓口で聞かれそうなことを先に書いておく

相談窓口では、よく次のようなことを聞かれます。

今の仕事。

収入。

住まい。

家族構成。

病院。

困りごと。

借金や滞納。

これをその場で全部思い出そうとすると疲れます。

だから先にスマートフォンへ入れておきます。

正確な数字が分からなければ、

「だいたい月15万円」

で構いません。

「正確な金額は分かりません」

でもいい。

相談は税務申告ではありません。

最初は状況を把握することが目的です。

「話したくないこと」は無理に全部話さなくていい

相談では、過去のつらい経験を聞かれることがあります。

でも、

全部細かく説明しなければならないわけではありません。

たとえば、

「以前の職場でハラスメントがあり、それ以降仕事に強い不安があります」

くらいでも構いません。

詳細が必要なら、

「今は詳しく話すのがつらいです」

と伝えていい。

自分の情報をどこまで話すかも、少しずつでいいのです。

付き添いを頼んでもいい

一人で相談へ行くのが難しいなら、

支援者。

友人。

家族。

訪問看護師。

相談支援専門員。

医療ソーシャルワーカー。

などに付き添ってもらえる場合があります。

相談先によって対応は違いますが、

「一人では説明が難しいので付き添いをお願いしたい」

と聞いてみてもいいでしょう。

また、付き添いの人には事前に、

「全部代わりに話してほしい」

「言葉に詰まったときだけ助けてほしい」

など、希望を伝えておくと楽です。

相談の途中で疲れたら「今日はここまで」でもいい

相談していると、だんだん疲れてくることがあります。

頭が働かなくなる。

説明を理解できなくなる。

そんなときは、

「今日はこれ以上理解できそうにないので、次に何をすればいいか一つだけ教えてください」

と言っていいです。

全部一日で決める必要はありません。

たとえば今日のゴールを、

「次に連絡する場所の名前を一つ持って帰る」

くらいにしてもいい。

それで十分です。

「相談したのに分からなかった」ときのメモ

窓口から帰ったあと、

「結局何を言われたの?」

となることもあります。

だから最後に、これを聞きます。

「次に私がすることを、一つか二つだけ書いてもらえますか?」

可能なら、

担当者名。

次の窓口。

必要書類。

期限。

を書いてもらいます。

自分でもメモします。今日言われたこと: 次にすること①: 次にすること②: 次に連絡する場所: 期限: 分からなかったこと:

この欄をSOS相談メモの最後につけても便利です。

「制度名」が分からなくても相談できる

相談へ行く前に、

障害年金。

住居確保給付金。

就労準備支援。

自立相談支援。

全部勉強しておく必要はありません。

むしろ、

「どの制度を使えばいいか分からない」

という状態を持っていけばいい。

支援者に、

「私の場合、使えそうな制度を一緒に整理してほしい」

と頼みます。

制度を自分で全部調べることが難しいから相談する。

それでいいのです。

相談メモを「自分の取扱説明書」にしてもいい

SOS相談メモは、一回使ったら捨てるものではありません。

少しずつ育ててもいいと思います。

たとえば、

電話が苦手。

数字の説明が苦手。

一度にたくさん説明されると分からなくなる。

口頭より文字のほうが理解しやすい。

緊張すると話せなくなる。

こうしたことを書いておけば、

別の病院や支援機関へ行ったときにも使えます。

毎回、

「私はこういうことが苦手で……」

と一から説明しなくて済みます。

これは、

自分の生活の取扱説明書

のようなものです。

相談できなかった日も失敗ではない

メモを作った。

でも電話できなかった。

窓口の前まで行ったけれど入れなかった。

そういう日もあると思います。

それでも、

何もしていないわけではありません。

昨日までは、

「何を言えばいいか分からない」

だった。

今日は、

メモがある。

次は、

電話番号だけ調べる。

その次に、

電話をかける。

一歩ずつでいいのです。

今日作るなら「超短縮版」だけでもいい

長いテンプレートを見るだけで疲れた人は、これだけで構いません。【SOSメモ】 今困っていること: : 一番心配なこと: : 自分では難しいこと: : 今日知りたいこと: : うまく話せないので、このメモを見てください。

これなら数分で作れます。

まとめ|相談は「話す力を試される場所」ではない

相談窓口へ行くとき、

うまく話さなければ。

きれいに説明しなければ。

困りごとを整理しておかなければ。

と思うかもしれません。

でも、本来の相談は、

整理できないものを一緒に整理するための場所

でもあります。

だから、

話せなくてもいい。

メモを見せていい。

分からないと言っていい。

質問を一つずつお願いしていい。

紙に書いてもらっていい。

付き添いを頼んでもいい。

そして、

「今日はここまで」

と言ってもいい。

助けを求めることに必要な力を、全部自分一人で用意しなくてもいいのです。

もし今、

仕事。

お金。

住まい。

病気。

家族。

いろいろな問題が絡まっていて、

何を話せばいいか分からないなら、

まずスマートフォンに、

「SOS相談メモ」

と書いてください。

そして、

「今困っていること」

を一つ。

それだけでもいい。

相談は、

上手に助けを求められる人だけが使うものではありません。

助けを求めることが難しくなっている人ほど、使っていいものです。

言葉が出ないなら、見せる。

説明できないなら、読んでもらう。

一人で整理できないなら、一緒に整理してもらう。

そんな方法もあります。

全部、自分でできなくていい。

生活を続けるために、

使える方法を使っていく。

これからを、わたしから。