40代、「貯金がなくなるのが怖い」――残高30万円・10万円・5万円で何を優先する?

通帳の残高が減っていく。

30万円。

20万円。

10万円。

数字が小さくなるたびに、

「このままゼロになったらどうしよう」

と思います。

40代になると、その怖さは若いころとは少し違います。

次の仕事がすぐ見つかるとは限らない。

病気や体力の問題もある。

家賃がある。

車が必要な地域もある。

家族を頼れないこともある。

老後も気になる。

だから、

「貯金がなくなる」ことが、単なる残高の問題ではなく、生活そのものを失う恐怖につながる

ことがあります。

でも、30万円のときと、10万円のときと、5万円のときでは、優先することが違います。

大切なのは、

「もっと節約しなきゃ」

だけではありません。

残っているお金を、次の生活につなぐために使うこと。

今回は、手元の現金が減ってきたときの行動を、3段階に分けて考えます。

まず「何万円あるか」より「何か月暮らせるか」

最初にやってほしいことがあります。

貯金額だけを見ないことです。

たとえば30万円。

多いのか少ないのか。

それだけでは分かりません。

最低生活費が月10万円なら、約3か月分。

月15万円なら、2か月分。

月20万円なら、1か月半です。

つまり大切なのは、

「残高÷最低生活費」で、何か月分あるかを見ること。

です。

以前の記事で出した「最低生活費」が、ここで役立ちます。

家賃。

食費。

水道光熱費。

通信。

医療。

通勤。

最低限必要なものだけを合計します。

この数字が分かれば、

「30万円ある」

から、

「私はあと2か月くらい持つ」

へ変わります。

怖い数字が、対策できる数字になります。

残高30万円|「まだ動けるうちに相談を始める」

まず、30万円。

この段階で一番やってほしいのは、

貯金を守ることより、減る原因を止めること

です。

たとえば、

毎月2万円赤字。

なら、30万円は15か月。

と思うかもしれません。

でも、車検。

医療。

税金。

家電。

などが入ると一気に減ります。

だから、

「まだ30万円ある」

ではなく、

「30万円残っている今なら、まだ選択肢を作れる」

と考えます。

厚生労働省の生活困窮者自立支援制度では、生活に不安や困りごとがある段階から地域の相談窓口へ相談でき、支援員と一緒に必要な支援プランを考える仕組みがあります。仕事・住まい・家計などを横断して相談できます。

つまり、

失業してから。

貯金ゼロになってから。

家賃滞納してから。

でなくていいのです。

30万円残っている段階こそ、

相談を始めるタイミング

になり得ます。

30万円で優先したいこと

この段階では、

まず毎月の赤字額を出す。

固定費を見直す。

収入が減った理由を見る。

仕事を続けられるか確認する。

自立相談支援へ相談する。

家計が整理できないなら家計改善支援を使う。

こうしたことを始めます。

生活困窮者自立支援制度の家計改善支援では、家計の状況を見えるようにし、問題を整理しながら、必要に応じて他の機関につなぐ支援も行われます。

ここで大切なのは、

30万円を全部守ることではありません。

その30万円がある間に、

赤字を小さくする。

支援へつながる。

仕事の選択肢を作る。

ということです。

現金は「時間」を買うために使います。

30万円あるうちに、NISAを増やす?

私は慎重に考えます。

もし30万円が、

手元にあるほぼ全部の現金

なら、投資を増やすより生活防衛資金として置いておく意味が大きいです。

NISAは長期の資産形成には使えますが、必要なときに価格が下がっている可能性があります。

今は、

増やすことより、

生活を止めないこと

が優先です。

残高10万円|「節約」から「支援につながる」へ切り替える

次に10万円。

最低生活費が月15万円なら、

1か月分にも届きません。

この段階で、

「もっと食費を削れば」

「コンビニをやめれば」

だけで乗り切ろうとするのは危険です。

もちろん無駄な支出は減らします。

でも、10万円まで減っているなら、

個人の節約だけではなく、制度を使う段階

に入っています。

仕事もお金も住まいも絡んでいるなら、自立相談支援機関へ。

家賃が危ないなら、住居確保給付金の対象になる可能性を確認します。

厚生労働省の住居確保給付金は、離職等により住居を失った、または失うおそれが高い人について、一定の収入・資産要件などを満たす場合に、一定期間、家賃相当額を支給する仕組みです。

「まだ家賃を滞納していない」

から待つ必要はありません。

払えなくなりそう

の段階で相談していいのです。

10万円なら「払わないと生活が壊れるもの」を優先する

手元資金が少なくなると、すべての請求を同じように払おうとしてしまいます。

でも、生活再建の視点では優先順位があります。

まず、

住まい。

食事。

電気・ガス・水道。

必要な医療。

仕事を続けるために不可欠な交通や通信。

こうした生活基盤を守ります。

借金やカード返済がある場合も、自己判断で放置するのではなく、早く相談します。

金融庁は、多重債務について全国の財務局などの相談窓口や、法テラス・弁護士会・司法書士会などの相談先を案内しています。

ここで、

「借金を返すために食費をゼロに近づける」

ということはしない。

生活そのものを守りながら、債務は専門家と整理する。

この順番です。

「借りれば少し延命できる」は慎重に

手元が10万円になると、

カードローン。

リボ。

キャッシング。

を使いたくなることがあります。

でも、それは翌月以降の支出を増やします。

一時的に時間は稼げても、

収入が戻る見込みがなければ、

問題を先送りして大きくする可能性があります。

生活福祉資金貸付制度という公的な貸付制度もありますが、これも原則として返済が必要な「貸付」です。対象や条件があり、市区町村社会福祉協議会などが相談窓口になります。

だから、

「借りられるところから借りる」

ではなく、

借りることで本当に生活再建につながるのかを相談して決める

ことが大切です。

残高5万円|「恥ずかしい」より「今日つながる」

そして5万円。

最低生活費が月15万円なら、10日程度の生活費にしかならない場合もあります。

この段階は、

様子を見る段階ではありません。

相談を急ぐ段階です。

自立相談支援。

福祉事務所。

住まいの相談。

社会福祉協議会。

必要な窓口につながります。

食費や家賃がもう足りない。

公共料金が止まりそう。

借金で生活費をつないでいる。

という状態なら、

生活保護も含めて相談することをためらわないほうがいいと思います。

生活保護は、

「貯金ゼロになるまで相談してはいけない制度」

ではありません。

資産・収入・世帯状況などを含めて、福祉事務所が個別に判断します。

自分だけで、

「まだ5万円あるから無理」

と決めないことが大切です。

5万円を「全部の支払いに薄く配る」より、生活基盤を守る

残金5万円。

請求が、

家賃5万円。

カード3万円。

携帯1万円。

病院5,000円。

などあったら、全部は払えません。

こういうときこそ、一人で判断せず相談します。

特に住居を失うと生活再建が難しくなるため、家賃については早く住まいの相談につながります。

また、借金については金融庁が案内する多重債務相談窓口などがあります。

大切なのは、

「全部払えない自分が悪い」と考えるより、「何を守れば生活を続けられるか」を考えること。

です。

30万円→10万円→5万円になるまで待たない

この記事では残高別に分けていますが、

本当に伝えたいことはここです。

30万円が10万円になるまで待たなくていい。

10万円が5万円になるまで待たなくていい。

貯金が減り続けていることが分かった時点で動いていいのです。

特に、

3か月連続で赤字。

欠勤で給料が減った。

家賃をカードで払おうとしている。

リボ残高が増えている。

税金や公共料金を後回しにし始めた。

貯金を毎月取り崩している。

こうしたことがあれば、

残高が50万円でも相談していいと思います。

生活困窮者自立支援制度は、生活に「困りごとや不安」がある場合の相談を入口にしています。

限界は、相談開始の条件ではありません。

「支援を受けるほどではない」は、自分で決めなくていい

40代になると、

「これくらい自分でなんとかしなきゃ」

という気持ちが強くなることがあります。

まだ働いている。

まだ家がある。

まだ5万円ある。

もっと大変な人がいる。

でも、それを繰り返していると、

最後にすべてを失ってから相談することになります。

公的な相談窓口は、

「あなたより困っている人がいるか」

を競う場所ではありません。

今の生活を続けられるか

を見る場所です。

家族を頼れない人は、早めに動く意味がさらに大きい

家族から一時的に10万円借りられる。

実家に帰れる。

食事だけ助けてもらえる。

そういう人には、家族という安全網があります。

でも、

それがない人もいます。

その場合、

現金がゼロになる前に、

制度。

行政。

医療。

就労支援。

地域。

へ安全網を広げる必要があります。

家族を頼れないなら、制度を家族の代わりに全部使う

という意味ではありません。

いくつもの小さな支援を組み合わせます。

自立相談支援では、本人の状況に合わせて必要な支援を一緒に考える仕組みがあります。

一人で制度の一覧を作る必要はありません。

「5万円になったら相談」ではなく、自分専用の警戒ラインを作る

もっと使いやすくするなら、

自分の残高に警戒ラインを設定します。

たとえば最低生活費15万円の人なら、

45万円
→生活費3か月分。「黄色」。家計と働き方を点検。

30万円
→2か月分。相談窓口を調べる。

15万円
→1か月分。相談を始める。

10万円以下
→支援や住まい、債務などを早急に確認。

このように、

金額ではなく生活費何か月分か

で決めます。

100万円持っていても生活費が月40万円なら安心とは言えません。

逆に生活費が月10万円なら、30万円でも3か月あります。

自分の生活に合わせることが重要です。

今日やることは「残高を見る」だけではない

残高を見ると怖くなるから、銀行アプリを開きたくない。

そんなこともあると思います。

でも今日見るのは、一つの数字だけではありません。

スマートフォンに、

現在の現金:○万円

最低生活費:○万円

あと約○か月

と書きます。

そして、

3か月以上
→家計を整える。

1〜3か月
→相談先を調べる・相談を始める。

1か月未満
→生活基盤の支援を急いで確認する。

と決めます。

数字は、自分を責めるためではありません。

次に何をするか決める信号

として使います。

まとめ|残高が減ったら、「我慢」ではなく行動を早める

貯金が30万円。

10万円。

5万円。

数字が減るほど、不安になります。

でも、

30万円なら、

まだ生活を立て直す時間を作れる。

10万円なら、

節約だけで抱えず支援につながる。

5万円なら、

生活基盤を守るための相談を急ぐ。

それぞれ、することがあります。

そして、本当は5万円になるまで待つ必要はありません。

減り始めた段階から動いていい。

生活困窮者自立支援制度。

家計改善支援。

住居確保給付金。

社会福祉協議会。

債務相談。

そして必要なら生活保護。

安全網は、一つではありません。

大切なのは、

「どこまで我慢できる?」

ではなく、

「何を守れば、ここから生活を立て直せる?」

と考えることです。

家を守る。

食事を守る。

医療を守る。

働ける状態を守る。

そして、手元に残っているお金を、

ただ減っていく数字ではなく、

次の場所へ移るまでの時間

として使う。

貯金が減っていることは、不安です。

でも、残高が少なくなったことは、

人生そのものが少なくなったという意味ではありません。

使える制度がある。

相談できる場所がある。

働き方を変える方法がある。

生活費を組み直すこともできる。

一つずつつながればいい。

40代からの生活防衛は、

ゼロになるまで耐えることではありません。

ゼロになる前に、自分を守る方向へ動くこと。

それも立派な生活の立て直しです。

これからを、わたしから。