40代、障害者雇用で月15万円なら暮らせる?――障害年金・給与・社会保険を合わせた「手取り生活設計」
障害者雇用の求人を見ていると、
月給15万円。
16万円。
18万円。
そんな金額を目にすることがあります。
そこで思うのです。
「これで、本当に暮らしていけるの?」
前の記事では、障害者雇用は一般雇用より平均賃金が低く見えることがあり、短時間勤務が多いこともその背景にあると書きました。
でも、読者が本当に知りたいのは平均賃金ではありません。
自分の生活に置き換えたとき、
家賃を払えるのか。
食事ができるのか。
病院へ通えるのか。
貯金できるのか。
老後はどうなるのか。
そこだと思います。
今回は、障害者雇用で月15万円前後の給与を得るケースを例にしながら、
給与+障害年金+社会保険+生活費
を一つの家計として考えてみます。
結論からいうと、
月15万円という数字だけでは、暮らせるかどうかは分かりません。
家賃が3万円なのか7万円なのか。
障害年金があるのか。
車が必要なのか。
社会保険に加入するのか。
医療費はいくらか。
それによって、まったく違うからです。
だから今回は、
「月15万円では少ない」
「障害年金があるなら余裕」
のような単純な答えにはしません。
自分の生活を数字に変えて考えてみます。
- まず「月給15万円」と「手取り15万円」は違う
- 短時間でも社会保険に入る人は増えていく
- では「給与15万円+障害年金」なら?
- 「給与だけで自立しなければ」と考えなくていい
- モデルケース1|家賃が低く、車なしなら
- モデルケース2|車と高い家賃があるなら、一気に厳しくなる
- だから前の記事の「住まい」とつながる
- 障害年金を全部生活費として使い切らない方法も考える
- でも「年金はずっと同額」という前提にしすぎない
- 障害年金をもらっているからNISAをしてはいけない?
- 「年金があるから給与が低くても仕方ない」にはしない
- 社会保険料が引かれると損?
- 「手取り生活設計」は4つに分ける
- 収入が少ないと「楽しむお金」をゼロにしたくなる
- 社会的に弱い立場になったら、収入源を一本にしない
- 今日使える「給与+障害年金」家計テンプレート
- もし赤字だったら「もっと働く」だけが答えではない
- 40代だからこそ「手取り」ではなく「暮らしの耐久力」
- まとめ|月15万円で暮らせるかではなく「自分の家計なら暮らせるか」
まず「月給15万円」と「手取り15万円」は違う
最初に、ここを分けます。
求人票に、
月給15万円
と書いてあっても、
そのまま15万円が銀行口座に振り込まれるわけではありません。
社会保険に加入していれば、
健康保険。
厚生年金保険。
雇用保険。
さらに所得に応じて所得税や住民税。
などが差し引かれます。
つまり、
額面15万円と、実際に使えるお金は違う
ということです。
手取り額は年齢、地域、保険料率、住民税などによって違うので一律には出せません。
だから求人を見るときは、
「月給15万円」
ではなく、
「この働き方なら、手元にいくら残りそう?」
まで確認する必要があります。
短時間でも社会保険に入る人は増えていく
短時間勤務だと、
「社会保険には入れないのでは?」
と思うかもしれません。
2026年8月現在、短時間労働者の社会保険適用は拡大が進んでいます。厚生労働省は、週20時間以上の短時間労働者について企業規模要件を段階的に撤廃し、いわゆる月額8.8万円の賃金要件も2026年10月に撤廃予定と案内しています。将来的には、企業規模にかかわらず週20時間以上働く人が社会保険へ加入する方向です。
これは、
「手取りが減る」
だけの話ではありません。
健康保険。
厚生年金。
傷病手当金など一定の社会保障。
将来の老齢厚生年金。
につながります。
40代から働き方を考えるなら、
今月の手取りと同時に、社会保険という安全網も見る
必要があります。
では「給与15万円+障害年金」なら?
ここからが重要です。
障害年金を受給している人なら、
給与とは別に障害年金が入る場合があります。
一般的な障害基礎年金・障害厚生年金については、一定額の給与を得たという理由だけで一律に支給停止になる仕組みではありません。
特に精神障害等については、就労しているかどうかだけではなく、仕事内容、職場で受けている援助・配慮、安定して働けているかなどを含めて障害状態を判断する考え方が示されています。日本年金機構の資料でも、一般企業で働いている場合は「月収だけでなく就労の実態を総合的にみて判断する」とされています。
ただし例外として、20歳前の傷病による障害基礎年金には本人所得による支給制限があります。前年所得によって10月分から翌年9月分までの年金が調整される仕組みなので、自分がどの種類の障害年金を受けているかは確認が必要です。
つまり、
「障害年金+給与」で暮らすこと自体は、おかしなことではありません。
「給与だけで自立しなければ」と考えなくていい
ここで、少し考え方を変えてみます。
病気や障害になる前は、
給料20万円で暮らしていた。
でも今は、
以前と同じ時間働くことが難しい。
だから、
短時間勤務で給与13万円。
障害年金がある。
という生活になった。
このとき、
「給与13万円しか稼げない自分」
と見ることもできます。
でも、
働ける部分は給与で、障害によって失われた働く力の一部は社会保障で支える
と考えることもできます。
障害年金は、働かないための報酬ではありません。
病気や障害によって生活や仕事に制限が生じた人を支える公的制度です。障害状態は、生活上の制限や労働能力などを踏まえて判断されます。
なら、
給与だけで以前と同じ生活を再現しなくてもいい。
ここは、とても大事だと思います。
モデルケース1|家賃が低く、車なしなら
例として考えてみます。
これはあくまで考え方を示すためのモデルで、実際の税金や社会保険料、年金額は個人によって異なります。
給与の手取りを仮に12万円程度。
障害年金を月換算で約8万円程度受け取っているとします。
すると生活に使えるお金は、
約20万円。
ここから、
家賃4万円。
食費3万円。
水道光熱費1万5,000円。
通信費8,000円。
医療費1万円。
交通費1万円。
日用品7,000円。
その他2万円。
とすると、
生活費は約14万円前後。
残りを、
臨時支出。
貯金。
医療。
将来資金。
へ回せます。
こういう生活なら、
月給15万円だけを見ると苦しく感じても、
家計全体では成立する可能性があります。
モデルケース2|車と高い家賃があるなら、一気に厳しくなる
では同じ収入でも、
家賃7万円。
車が必要。
となったらどうでしょう。
家賃7万円。
車関連費を月換算3万円。
これだけで10万円です。
さらに、
食費。
光熱費。
通信費。
医療費。
を加えれば、
生活費は20万円近くになるかもしれません。
すると、
給与+障害年金が20万円程度あっても、
ほとんど余裕がありません。
ここで分かるのは、
問題は「障害者雇用の月給15万円」だけではない
ということです。
住まい。
車。
固定費。
まで含めて生活設計する必要があります。
だから前の記事の「住まい」とつながる
これまで「わたしから。」で、
老後まで住める家。
車がなくても暮らせる地域。
家賃。
通院。
について考えてきました。
それが、ここでつながります。
月給が低めでも、
家賃が抑えられている。
車なしで生活できる。
病院も近い。
なら暮らしやすい。
逆に、
給料が少し高くても、
家賃が高い。
車必須。
通勤1時間。
なら生活全体では苦しくなる。
つまり、
働き方を変えるときは、暮らし方も一緒に変えていい。
のです。
障害年金を全部生活費として使い切らない方法も考える
もし給与だけで最低生活費の多くをまかなえるなら、
障害年金の一部を、
生活防衛資金。
医療費の予備。
将来資金。
へ残すこともできます。
たとえば、
給与手取り13万円。
最低生活費15万円。
なら、
障害年金から2万円を生活費へ。
残りは、
医療。
突然の休職。
家電故障。
将来の住まい。
などに回す。
こうすると、
障害年金が単なる毎月の消費ではなく、
働けなくなったときの第二の安全網
にもなります。
でも「年金はずっと同額」という前提にしすぎない
障害年金には、障害状態を一定期間ごとに確認する有期認定の場合があります。
障害状態が変われば、等級変更や支給停止となる可能性があります。
だから家計を作るなら、
年金がある現在の生活
と、
もし将来年金額が変わった場合の生活
の2つを考えておくと安心です。
たとえば、
今の最低生活費は16万円。
給与の手取りは13万円。
差額3万円。
ここまでなら、
「仮に年金額が変わっても、あと3万円収入を増やすか生活費を調整すればいい」
と分かります。
全部を年金に依存しなくて済みます。
障害年金をもらっているからNISAをしてはいけない?
これも別の話です。
生活防衛資金があり、
毎月の家計が黒字で、
将来使う予定のないお金があるなら、
少額からNISAなどの資産形成を考えることもできます。
ただし、
現金がほとんどない。
毎月赤字。
突然休職する可能性が高い。
という段階なら、
投資より先に現金です。
これまでの記事と同じです。
守るお金と育てるお金を混ぜない。
障害がある人ほど、突然働けなくなるリスクを考えて、現金の意味は大きくなります。
「年金があるから給与が低くても仕方ない」にはしない
ここは大切なので、はっきり書きたいと思います。
障害年金を受け取っているのだから、
企業は低い給料でいい。
そんな話ではありません。
給与は仕事への対価です。
障害年金は社会保障です。
別のものです。
障害者雇用には、賃金やキャリア形成の課題があります。
だから、
給与。
昇給。
賞与。
仕事内容。
正社員登用。
について確認していい。
「年金があるでしょ」と企業側の賃金責任を薄めるものではありません。
一方、本人側も、
「給与だけですべての生活を成り立たせなければ」
と無理をする必要はない。
この二つは両立します。
社会保険料が引かれると損?
給料明細を見ると、
健康保険。
厚生年金。
思ったより引かれています。
「これなら社会保険に入らないほうが手取りが多いのでは」
と思うことがあります。
短期的には、手取りだけを見ればそう感じることがあります。
でも40代からは、
病気で働けなくなったとき。
将来の老齢厚生年金。
医療。
といった社会保障も見ます。
さらに短時間労働者への社会保険適用は今後さらに広がる予定です。厚生労働省は、週20時間以上の短時間労働者について企業規模要件を段階的に撤廃し、賃金要件も撤廃する方針を示しています。
つまり、
40代からは「手取りを最大化する」だけでなく「安全網を最大化する」
という考え方も必要になります。
「手取り生活設計」は4つに分ける
数字が苦手でも、これくらいなら大丈夫です。
毎月使えるお金を、
暮らす。
守る。
将来。
楽しむ。
の4つに分けます。
たとえば使えるお金が20万円なら、
暮らす 14万円。
守る 2万円。
将来 2万円。
楽しむ 2万円。
こんな感じです。
割合は人それぞれ。
大事なのは、
全部を生活費にしてしまわないこと。
特に「守る」の箱。
これは、
急な医療。
仕事を休んだ。
家電故障。
ペット。
引っ越し。
などのための現金です。
収入が少ないと「楽しむお金」をゼロにしたくなる
でも私は、
できるなら少し残したほうがいいと思っています。
月3,000円でもいい。
本。
カフェ。
趣味。
推し活。
映画。
好きなもの。
生活防衛の記事を書くと、
どうしても、
節約。
制度。
老後。
ばかりになります。
でも、
生き延びるだけの家計は長く続きにくい。
障害がある人ほど、
仕事。
通院。
生活管理。
で日常のエネルギーを使っています。
だから、
楽しむお金も、
生活を続けるための費用の一つ
と考えていいと思います。
社会的に弱い立場になったら、収入源を一本にしない
病気や障害がある。
家族を頼れない。
収入が高くない。
こうした人ほど、
給与一本で暮らすのは怖い場合があります。
だから、
給与。
障害年金。
現金。
社会保険。
必要なら福祉制度。
と、いくつもの柱を立てます。
前の記事でも書きましたが、
一本の大木に全部を預けるのではなく、小さな柱を何本も作る。
給与が下がったら年金。
年金が変わったら給与。
働けなくなったら現金。
生活が崩れたら制度。
どこか一つが弱くなっても、
全部が同時に倒れない形を作ります。
今日使える「給与+障害年金」家計テンプレート
数字が苦手でも使えるよう、かなり簡単にします。【給与+障害年金 生活設計メモ】 ■ 毎月の収入 給与の手取り: 約 円 障害年金(月換算): 約 円 その他: 約 円 合計: 約 円 ■ 暮らすお金 家賃: 円 食費: 円 水道光熱費: 円 通信費: 円 医療費: 円 交通・車: 円 保険: 円 日用品: 円 その他: 円 最低生活費 合計: 約 円 ■ 守るお金 毎月の現金貯金: 円 現在の生活防衛資金: 万円 最低生活費の何か月分? 約 か月 ■ 将来のお金 NISA: 円 その他: 円 ■ 楽しむお金 趣味: 円 外食・カフェ: 円 その他: 円 ■ 最後に 収入合計: 円 生活費: 円 残るお金: 円 今、一番見直したいもの: □ 家賃 □ 車 □ 固定費 □ 働く時間 □ 給与 □ 貯金 □ 投資 □ その他
全部正確でなくても大丈夫です。
最初は、
1万円単位でもいい。
目的は家計簿を完璧に作ることではありません。
「私の暮らしには、あといくら必要?」
を知ることです。
もし赤字だったら「もっと働く」だけが答えではない
計算して、
毎月2万円赤字。
となった。
すると、
「仕事を増やさなきゃ」
と思います。
でも、
2万円のために勤務時間を増やして体調を崩すなら、
別の方法も考えます。
家賃を下げる。
車の維持費を見直す。
保険を確認する。
固定費を減らす。
使える制度を調べる。
昇給できる職場へ転職する。
資格を取る。
仕事量を少し増やす。
いくつかに分けます。
2万円不足しているなら、
2万円分の身体を売る
必要はありません。
5,000円ずつ4か所から改善してもいいのです。
40代だからこそ「手取り」ではなく「暮らしの耐久力」
若いころなら、
今月いくらもらえる?
が最優先だったかもしれません。
40代からは、
少し違います。
この働き方を5年続けられる?
社会保険に入れる?
病気になったらどうなる?
老後の年金は?
貯金は残る?
障害年金が変わっても生活できる?
ここまで考えます。
つまり、
月収より「暮らしの耐久力」
です。
まとめ|月15万円で暮らせるかではなく「自分の家計なら暮らせるか」
障害者雇用で月15万円。
この数字だけを見て、
「暮らせない」
とも、
「障害年金があるから余裕」
とも言えません。
家賃。
車。
社会保険。
医療費。
障害年金。
生活防衛資金。
全部を組み合わせて考えます。
一般的な障害年金では給与額だけで一律に停止する仕組みではなく、精神障害等については月収だけではなく実際の就労状況や職場の援助・配慮なども含めて障害状態が判断されます。一方、20歳前傷病の障害基礎年金には所得制限があります。
そして短時間勤務でも社会保険へ加入する人は今後さらに増えていく制度設計になっています。
だから、
給与。
年金。
社会保険。
現金。
を一緒に見る。
給与だけで昔と同じ生活を作らなくていい。
障害年金だけに頼り切らなくてもいい。
今働ける力で収入を得て、
社会保障で不足を補い、
現金でもしもに備える。
その組み合わせで、
自分の暮らしが続く形
を作ればいいのです。
40代で社会的に弱い立場になったからといって、
「以前と同じだけ稼げないなら人生失敗」
ではありません。
収入の作り方そのものを、
一つから複数へ変えていく。
そして、
働く。
休む。
治療する。
楽しむ。
その全部が残る家計を作る。
それが、
40代からの「手取り生活設計」なのだと思います。
これからを、わたしから。