生活防衛資金ができたらNISA?――40代から投資を始める前に確認したい5つのこと
生活防衛資金が少しずつ貯まってくると、次に気になるのが投資です。
「普通預金に置いておくだけではもったいない?」
「40代なら、もうNISAを始めたほうがいい?」
「老後まで時間がないから、少しでも増やしたほうがいい?」
そんなふうに考える人もいると思います。
NISAは、将来の資産形成に使える便利な制度です。
2024年からのNISAでは、制度が恒久化され、非課税保有期間も無期限になりました。年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すると年間360万円まで利用できます。非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。
数字だけを見ると、
「そんなに投資できないよ」
と思うかもしれません。
でも、NISAは限度額まで使わなければいけない制度ではありません。
大切なのは、
「いくらまで投資できるか」ではなく、「自分はいくらなら無理なく続けられるか」
です。
そして、40代から投資を始めるなら、私はNISA口座を開く前に5つ確認しておきたいと思っています。
1.生活防衛資金は、本当に別にある?
最初に確認したいのは、これです。
投資に回すお金とは別に、生活を守る現金がありますか?
以前の記事でも書きましたが、生活防衛資金は、
病気。
失業。
収入減少。
急な修理。
入院。
家電の故障。
などが起きたときに、生活を続けるためのお金です。
投資とは役割が違います。
金融庁も、資産形成について説明する中で、投資商品には預貯金より高い収益を期待できる一方で、元本割れのおそれがあることを明記しています。
つまり、
100万円投資したからといって、必要なとき必ず100万円で取り出せるわけではありません。
90万円になっていることもあります。
80万円になっていることもあります。
そのとき、
「失業したから生活費が必要」
となったらどうでしょう。
値下がりした状態で売らなければならなくなるかもしれません。
だから、
生活防衛資金までNISAに入れない。
ここが最初のルールです。
たとえば、
生活防衛資金50万円。
それとは別に、しばらく使う予定のないお金10万円。
なら、その10万円の中から投資を考える。
こんな順番です。
2.「10年以上使わないお金」かどうか確認する
次に考えたいのは、
そのお金をいつ使う予定か。
です。
NISAは、短期間で確実に増やすための制度ではありません。
J-FLECも、投資は「当面使う予定がないお金」で行い、長期的な視点で運用することを基本として説明しています。
たとえば、
来年の車検。
3年後の引っ越し。
5年以内に買い替える車。
近いうちに必要な医療費。
こうしたお金は、投資に向いているとは言いにくいです。
使う直前に相場が下がっている可能性があるからです。
一方、
10年、15年先の老後資金。
当面使う予定のない余裕資金。
なら、長期投資を考えやすくなります。
だから、
「余っているから投資する」
ではなく、
「このお金は、いつ使う?」
と一度考える。
その答えが、
「かなり先」
なら、初めてNISAを検討します。
3.毎月いくらなら「下がっても続けられる?」を考える
投資を始めるとき、
「毎月3万円」
「毎月5万円」
といった金額を目にします。
でも、他人の金額をそのまま真似する必要はありません。
40代から始めるなら、私は、
「上がっているとき」ではなく、「下がったときにも続けられる金額」
を基準にしたほうがいいと思います。
たとえば、
毎月3万円投資している。
でも相場が下がって評価額が減った。
生活費も少し苦しくなった。
その瞬間、
「怖いから全部売ろう」
となってしまったら、長期投資の良さを活かしにくくなります。
だから、
5,000円でもいい。
1万円でもいい。
無理なく続けられる金額で始めます。
金融庁も、長期・積立・分散という考え方を、資産形成の基本として紹介しています。積立投資は、決まった金額を継続的に投資することで、高いときだけ買ってしまうことなどを避けやすくする方法です。
重要なのは、
投資額の大きさではなく、続けられる仕組みを作ること。
です。
4.NISAは「商品名」ではなく「箱」だと理解する
ここは、初心者が混乱しやすいところです。
「NISAを買う」
という表現を見かけることがありますが、正確にはNISAそのものは金融商品ではありません。
投資によって得られた利益を一定の条件のもと非課税にする制度
です。
つまり、NISAという箱の中で、
投資信託。
ETF。
株式。
などを購入します。
だから、
「NISAなら安全」
とは限りません。
何を買うかによって、値動きやリスクは違います。
2024年からのNISAには、
つみたて投資枠
と
成長投資枠
があります。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などが対象になっています。成長投資枠では、より幅広い株式や投資信託などを購入できます。
初心者なら、
「NISAを始める」
ではなく、
「NISAを使って、どんな商品を、どんな目的で持つ?」
まで考える必要があります。
5.「増やしたい理由」が自分の中にある?
最後は、数字ではありません。
何のために投資するのか。
これを確認します。
老後。
将来の生活費。
少し余裕のある暮らし。
長く働けなくなった場合への備え。
理由は何でも構いません。
でも、
「みんなやっているから」
「投資しない人は損らしいから」
「40代だから焦って」
だけだと、相場が下がったときに不安になりやすくなります。
一方、
「65歳以降の生活を少し楽にしたい」
という目的なら、
短期間の値動きより、10年、15年という期間を見ることができます。
金融庁は、NISAを長期的な資産形成を支える制度として位置づけています。
だから、
投資の目的は「お金持ちになること」でなくてもいい。
未来の自分の選択肢を一つ増やす。
そのくらいでも十分です。
40代からなら「少額スタート」でも遅くない
40代になると、
「もう20代じゃないから、今さら少額では意味がない」
と思うことがあります。
でも、いきなり大きな金額を投資する必要はありません。
たとえば、
毎月5,000円。
毎月1万円。
から始める。
投資を続けながら、
生活防衛資金を増やす。
収入が増えたら積立額を少し上げる。
逆に生活が苦しくなったら、積立額を減らす。
NISAは年間投資枠が大きいですが、
枠を全部使う必要はありません。
金融庁のFAQでも、つみたて投資枠だけを利用することも、成長投資枠だけを利用することも可能とされています。
自分の生活に合わせればいいのです。
「長期・積立・分散」を普通の言葉にすると
投資の記事でよく出てくる、
長期・積立・分散
という言葉。
少し難しく見えますが、普通の言葉にすると、
長期
→短期間で儲けようとしない。
積立
→一度に大金を入れず、少しずつ続ける。
分散
→一つだけに全部賭けない。
ということです。
J-FLECも、投資のリスクを抑える基本として「長期・積立・分散」を紹介しています。
大切なのは、
絶対に損しない方法ではない
ということです。
リスクをなくすことはできません。
ただ、
一つの会社だけに投資する。
一度に大金を投じる。
短期間で売買を繰り返す。
よりも、リスクとの付き合い方を考えやすくする方法です。
NISAを始めないという選択もある
ここも書いておきたいと思います。
生活防衛資金が少ない。
借金やリボ払いがある。
近いうちに大きな出費がある。
収入が不安定。
投資すると毎日価格が気になってしまう。
そんな場合、
今はNISAを始めない
という選択もあります。
NISAは便利な制度ですが、
「使わなければ損する罰ゲーム」
ではありません。
生活が安定してから始めてもいい。
半年後でも。
1年後でも。
大切なのは、
投資を始めることより、生活を壊さないこと。
です。
「生活防衛資金ができた」の基準は人によって違う
では、
「いくら貯まったらNISAを始めてもいい?」
と思いますよね。
これも一律ではありません。
生活費。
家族を頼れるか。
収入の安定性。
病気の有無。
車が必要か。
ペットがいるか。
働けなくなった場合の保障。
などによって違います。
たとえば、
最低生活費15万円。
生活防衛資金45万円。
なら3か月分です。
「私は3か月分あれば、ひとまず安心」
と思えるなら、その先のお金から投資を考える。
一方、
家族を頼れない。
収入が不安定。
転職に時間がかかりそう。
なら、6か月分など、もう少し現金を厚めに持つ。
自分に合った安全ラインを決めること
が大切です。
投資を始める前の「5つのチェック」
ここまでを簡単にまとめます。
投資を始める前に、
- 生活防衛資金を別に持っている
- 投資するお金は当面使う予定がない
- 毎月無理なく続けられる金額が分かっている
- NISAと金融商品の違いを理解している
- 何のために投資するのか、自分なりの目的がある
この5つを確認します。
全部「はい」なら、少額から検討してもいいでしょう。
一つでも不安なら、
そこを先に整える。
それで大丈夫です。
まとめ|NISAは「焦って始めるもの」ではなく、生活の土台の上に置くもの
40代になると、
「時間がない」
と思います。
20代から投資している人を見ると、
「もっと早く始めていれば」
と思うこともあります。
でも、
失った20年を取り戻そうとして、今ある生活防衛資金まで投資する。
無理な金額を積み立てる。
値下がりが怖くなって売る。
それでは、自分を守るための資産形成が、逆に自分を苦しくしてしまいます。
だから順番は、
暮らす。
守る。
そして育てる。
です。
生活費を把握する。
生活防衛資金を作る。
固定費を見直す。
使う予定のお金を分ける。
そのうえで、
長く使わないお金を少しずつ育てる。
NISAは、そのために使える道具の一つです。
40代からでも、少額からでもいい。
他人と比べなくていい。
投資額より、
生活を守りながら続けられること
のほうが大切です。
焦らず、一つずつ。
未来の自分の選択肢を増やしていく。
これからを、わたしから。