40代、生活防衛資金はどこに置く?――普通預金・定期預金・NISAを混ぜない「3つのお金の置き場所」
生活防衛資金を少しずつ作り始めると、次に迷うのが、
「このお金、どこに置けばいいの?」
ということです。
普通預金のままでいいのか。
少しでも金利の高い定期預金にしたほうがいいのか。
それともNISAで運用したほうがいいのか。
40代になると、「現金で持っているだけではもったいない」「投資しないと老後に間に合わない」といった情報も目に入ります。
でも、ここで大切なのは、
お金は、目的によって置き場所を分けること。
です。
生活防衛資金と、数年以内に使うお金と、長期で育てるお金。
この3つは同じではありません。
今回は、普通預金・定期預金・NISAを混ぜずに、40代からのお金をどう置き分ければいいかを、できるだけシンプルに整理します。
- まず結論。「使う時期」で3つに分ける
- 1つ目の置き場所|普通預金は「守るお金」の基地
- 普通預金でも預金保険制度の対象になる
- 2つ目の置き場所|定期預金は「使う時期が少し先のお金」
- 生活防衛資金を全部定期預金にする必要はない
- 3つ目の置き場所|NISAは「生活防衛資金を置く場所」ではない
- NISAに向いているのは「長く使わないお金」
- 「現金を持つのはもったいない」は半分だけ正しい
- 40代なら「3つの財布」で考える
- 生活防衛資金がまだ少ない場合はどうする?
- NISAをしている人も、生活防衛資金を別に持つ
- 「どの銀行が一番金利が高い?」は最後でいい
- 口座を増やしすぎない
- 今日することは「今あるお金に名前をつける」
- まとめ|普通預金・定期預金・NISAは「どれが正解」ではない
まず結論。「使う時期」で3つに分ける
私は、お金を次の3つに分けると分かりやすいと思っています。
①すぐ使うかもしれないお金 → 普通預金
②しばらく使わないけれど、元本を減らしたくないお金 → 定期預金など
③長期間使わない予定で、値動きを受け入れながら育てるお金 → NISAなどの投資
この3つです。
ポイントは、
「どれが一番お得?」ではなく、「いつ使うお金?」で決めること。
です。
1つ目の置き場所|普通預金は「守るお金」の基地
生活防衛資金の中心になるのは、普通預金です。
理由は単純です。
必要になったとき、すぐ使いやすいからです。
病気。
失業。
急な修理。
家電の故障。
入院。
引っ越し。
こうしたことは、いつ起きるか分かりません。
そのため生活防衛資金は、
「すぐ引き出せること」
が最優先です。
金利が少し高いかどうかより、
必要な日に使えるか。
ATMや振込が使いやすいか。
生活口座から分けて管理できるか。
こちらのほうが大切です。
たとえば毎月の生活費を引き落とす口座とは別に、
「生活防衛資金専用口座」
を一つ作る方法もあります。
そうすれば、
普段のお金と混ざって、
「気づいたら使っていた」
を防ぎやすくなります。
普通預金でも預金保険制度の対象になる
銀行が破綻したらどうなるの?
と心配になる人もいると思います。
日本の預金保険制度では、利息のつく普通預金や定期預金などについて、原則として1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されます。
つまり、生活防衛資金として数十万円、数百万円を普通預金に置いておくこと自体は、制度上かなり分かりやすい管理方法です。
もちろん、1,000万円を超えるような資産になれば、金融機関を分けるなど別の管理も考えます。
でも、生活防衛資金を作り始めた段階では、
「普通預金でいいのかな?」と心配しすぎなくても大丈夫
です。
2つ目の置き場所|定期預金は「使う時期が少し先のお金」
次が定期預金です。
定期預金は、一定期間預けることを前提にした預金です。
普通預金より高い金利が設定されることがありますが、その代わり自由に出し入れする使い方には向きません。
日本銀行も、定期預金の預入期間別平均金利を継続して公表しています。預金金利は経済状況によって変わるので、利用するときはその時点の金融機関の条件を確認する必要があります。
では、どんなお金を定期預金に置けばいいのでしょう。
たとえば、
2〜3年後の車検や買い替え資金。
数年後の引っ越し。
まとまった医療費への備え。
住宅関係の費用。
など、
「すぐ明日使うわけではない。でも数年以内に使う可能性が高く、減らしたくないお金」
です。
生活防衛資金を全部定期預金にする必要はない
ここは大切です。
生活防衛資金が60万円あるから、
「全部定期にしたほうが金利が高い!」
と考える必要はありません。
たとえば最低生活費が月15万円なら、
普通預金に30万円。
残り30万円を定期預金。
のように、
すぐ使える部分と、少し先まで使わない部分を分ける
という方法もあります。
ただし、定期預金は商品によって中途解約時の利率などが異なります。
そのため、
「高い金利だけを見て決めない」
ことが大切です。
3つ目の置き場所|NISAは「生活防衛資金を置く場所」ではない
ここでNISAです。
金融庁によると、NISAは株式や投資信託などへの投資から得られる利益を非課税にする制度です。
とても便利な制度ですが、
NISA=安全な貯金口座
ではありません。
ここはかなり重要です。
NISA口座で買うのは、投資信託や株式などの金融商品です。
それらは値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。
たとえば100万円投資して、
急にお金が必要になったとき、80万円まで値下がりしている可能性もあります。
そのタイミングで生活費が必要なら、損をした状態で売却しなければならないかもしれません。
だから、
「失業したら使う予定のお金」をNISAに入れる
のは、生活防衛資金の目的とは相性がよくありません。
NISAに向いているのは「長く使わないお金」
NISAの役割は、
未来のお金を育てること。
です。
たとえば、
老後資金。
10年以上先を見据えた資産形成。
当面使う予定のない余裕資金。
などです。
金融庁もNISAを長期的な資産形成のための制度として案内しています。投資には価格変動などのリスクがあるため、制度のメリットだけでなくリスクも理解して利用する必要があります。
つまり、
普通預金とNISAは競争相手ではありません。
役割が違います。
「現金を持つのはもったいない」は半分だけ正しい
投資の情報を見ていると、
「現金で持っていても増えない」
という話があります。
確かに、長期間使わない資産をすべて普通預金だけで持つより、投資を含めて資産形成を考える意味はあります。
でも、
現金には現金の仕事があります。
病気になったとき、すぐ使える。
収入が止まっても家賃を払える。
急な修理代を出せる。
相場が暴落しても、生活費のために投資を売らなくて済む。
これは「増えないお金」ではありません。
生活を守る仕事をしているお金
です。
だから、
「預金=悪」
「投資=正解」
のように考える必要はありません。
40代なら「3つの財布」で考える
ここまでを、さらに簡単にしてみます。
財布1 今日から数か月以内に使うかもしれないお金
普通預金。
ここには、
毎月の生活費。
生活防衛資金。
直近の大きな支払い。
を置きます。
財布2 1〜数年以内に使う予定のお金
定期預金など。
車。
引っ越し。
大きな家電。
まとまった支出。
など、時期がある程度見えているものです。
財布3 10年以上使わない予定のお金
NISAなどを利用した長期投資。
老後。
長期的な資産形成。
です。
この3つに分けるだけでも、お金の整理はずいぶん楽になります。
生活防衛資金がまだ少ない場合はどうする?
もし今、
生活防衛資金が5万円。
10万円。
という段階なら、無理に3つ全部作らなくて大丈夫です。
最初は、
普通預金だけでいい
と思います。
5万円。
10万円。
最低生活費1か月分。
そこから3か月分。
と増やす。
そのあと、
「このうち一部はすぐ使わないかも」
となった段階で定期預金を考える。
そしてさらに余裕ができたら、
長期資金としてNISAを考える。
順番は、
守る → 分ける → 育てる。
です。
NISAをしている人も、生活防衛資金を別に持つ
すでにNISAをしている人もいると思います。
その場合も、
「NISAに100万円あるから生活防衛資金はいらない」
とは考えません。
たとえば、
NISA 100万円
普通預金 2万円
だったとします。
急に10万円必要になったら、NISAを売る必要が出るかもしれません。
しかも、そのとき相場が下がっている可能性もあります。
だから、
NISAを続けながら、
現金の安全網も別に作る
ことが大切です。
「どの銀行が一番金利が高い?」は最後でいい
お金を貯め始めると、
「普通預金の金利が一番高い銀行は?」
「どこの定期が得?」
と気になります。
金利差を比較すること自体は悪くありません。
ただ、預金金利は変わります。
実際、日本銀行は預金金利の統計を継続して公表しており、金融環境によって水準は動いています。
だから、
最初に銀行ランキングを探すより、先に自分のお金の役割を決める。
その後、
使いやすさ。
ATM。
振込。
預金保険。
金利。
などを比較する。
この順番で十分です。
口座を増やしすぎない
「目的別に分けましょう」
と言われると、
生活用。
防衛資金。
車。
医療。
旅行。
老後。
と、銀行口座をたくさん作りたくなるかもしれません。
でも管理が苦手なら、それも大変です。
だから、
実際の口座は2〜3個くらいでもいい
と思います。
たとえば、
口座A 毎月の生活。
口座B 生活防衛資金+近い将来のお金。
NISA口座 未来のお金。
これだけ。
口座を増やすことより、
どのお金が何のためなのか、自分で分かること
のほうが重要です。
今日することは「今あるお金に名前をつける」
今日、銀行を変える必要はありません。
定期預金を申し込む必要もありません。
NISAを始める必要もありません。
今ある預金を見て、
メモにこう書いてみます。
すぐ使うお金 ○万円
しばらく使わないお金 ○万円
10年以上使わないお金 ○万円
分からなければ、
全部「すぐ使うお金」
でも大丈夫です。
今のお金に、
役割をつける。
まずそこからです。
まとめ|普通預金・定期預金・NISAは「どれが正解」ではない
普通預金。
定期預金。
NISA。
どれが一番いいの?
という質問には、
「何のためのお金かによる」
が答えになります。
病気や失業のときに使う生活防衛資金なら、すぐ使える普通預金。
数年後に使う予定があり、減らしたくないお金なら、条件を確認したうえで定期預金など。
10年以上先のために育てる余裕資金なら、NISAを使った長期投資を検討する。
このように役割を分けます。
大切なのは、
生活防衛資金まで「もっと増やさなきゃ」と投資に回さないこと。
守るお金には、守る仕事があります。
育てるお金には、育てる仕事があります。
40代からのお金の立て直しは、
「一番儲かる場所を探すこと」から始めなくてもいい。
まず、
このお金は、いつ、何のために使う?
と考える。
それだけで、お金の置き場所はずいぶん分かりやすくなります。
暮らす。
守る。
育てる。
一つずつ役割を決めていく。
それも、人生を組み直すことの一つです。
これからを、わたしから。