毎日、ギリギリのところで踏ん張っていませんか?「もう疲れたな」って、声に出せずにいませんか?
仕事に子育て、介護、将来のお金のこと、そして日々の人間関係……。気づけば、いつも自分のことは後回しにして、大切な誰かや何かのために走り続けているあなたへ。
ふと立ち止まったとき、言葉にできない不安や、胸が締め付けられるような息苦しさを感じることはないでしょうか。ベッドの横でスースーと寝息を立てる愛犬や愛猫の温もりに触れて、ようやく張り詰めた糸が少しだけ緩む、そんな夜もあるかもしれません。
「私がもっとがんばればいいだけだから」
そうやって自分を責める必要は、もうどこにもないんですよ。心や体が「ちょっと休んで」とサインを出しているとき、それを助けてくれる仕組みがこの社会にはちゃんと用意されています。
今回は、生活の不安を少しでも減らし、あなたの大切な毎日を守るための「お守り」のような制度、『精神障害者保健福祉手帳』について、優しく紐解いていきます。
「手帳」と聞くと、なんだかとても重いものに感じられたり、「自分には関係ない」「持ったら終わりなんじゃないか」と不安に思われたりするかもしれません。でも、決してそんなことはありません。これは、あなたがこれまで一生懸命にがんばってきた証であり、これからの暮らしを少しだけ生きやすくするための「優しい切符」なのです。
私ももちろん持っています。最近はいろいろ使えるところも広がっていて、随分助かっています。
精神障害者保健福祉手帳とは?
精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法という法律に基づいて交付される手帳です。うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、発達障害、パニック障害や適応障害など、さまざまな心の病気や生きづらさによって、日常生活や仕事に何らかの制限が生じている方に交付されます。
「精神障害」という言葉の響きに、少し抵抗を感じてしまう方もいらっしゃると思います。けれど、この手帳はあなたを縛るものではなく、むしろ「がんばりすぎて擦り切れてしまったあなた」を社会全体で支えるためのシステムです。
手帳を持つことで、誰かに「私は病気です」と公表しなければならないわけではありません。自分が使いたいときだけ提示して、サービスや支援を受けることができる、とてもプライベートなものです。
手帳を持つことで得られる「安心」とメリット
この手帳があると、日々の経済的な負担や、暮らしのなかの小さなお困りごとを減らすことができます。たとえば、以下のような優遇措置やサポートを受けることができます。
- 税金の控除(安くなる制度)
所得税や住民税、自動車税などが軽減されます。これによって、少しだけ家計の負担が軽くなり、心のゆとりが生まれます。 - 公共料金やサービスの割引
・スマホや携帯電話の基本料金の割引(各キャリアに割引プランがあります)
・水道料金の減免(お住まいの地域によります)
・NHK受信料の免除・割引 - 交通機関の割引
バスや電車、タクシーなどの運賃が割引になる場合があります。体調が優れないときに、無理せずタクシーを使えたり、少し離れた場所に気分転換に出かけたりしやすくなります。 - 施設やレジャーの割引
美術館や博物館、動物園、映画館などの入場料が本人や同伴者(1名)まで割引、または無料になることがあります。
大好きなペットと一緒にのんびりドライブに出かけた先での施設利用や、ちょっとした息抜きの時間に役立ちます。 - 就労のサポート
もし「今は仕事をお休みしているけれど、また少しずつ働きたい」と思ったとき、「障害者雇用枠」での就職活動が可能になります。体調に配慮してもらいながら、自分のペースで無理なく働く道が広がります。
申請って、難しいの?
「役所の手続きって難しそうだし、体調が悪いときにそんな元気はない……」と思われるのは当然のことです。
申請はとてもシンプルで、基本的には以下のような流れになります。
- お医者さんに相談する
まずは、精神科や心療内科の主治医に「手帳の申請を考えている」と伝えます。精神疾患で初めてお医者さんにかかった日(初診日)から、6ヶ月以上が経過していることが条件となります。 - 診断書を書いてもらう
先生に手帳申請用の「診断書」を書いてもらいます。(※障害年金を受け取っている方は、年金証書で代用できる場合もあります)。 - 役所の窓口へ提出する
お住まいの市区町村の「福祉課」や「障害福祉窓口」に、診断書、申請書、写真(縦4cm×横3cm)、マイナンバーカードなどを持って申請します。ご本人が行くのが難しい場合は、ご家族や代理の方が手続きをすることも可能です。
審査にはだいたい2ヶ月ほどかかります。もし「等級に当てはまらない」となったとしても、それによって何かを失うわけではありません。「通ったらラッキーなお守りをもらいに行こう」くらいの、やわらかな気持ちでいてくださいね。
あなたの毎日に、少しの「余白」を
手帳を持つことで浮いたお金で、いつもお留守番をしてくれているワンちゃんや猫ちゃんに、ちょっと良いおやつを買ってあげる。
税金が安くなった分で、ずっと気になっていたハーブティーをお取り寄せして、おうちでゆっくりお茶を飲む。
そんなふうに、あなたの暮らしのなかに、ほんの少しの「余白」や「ご褒美」を作るために、この制度を使ってほしいのです。
制度を利用することは、決して甘えでもずるさでもありません。あなたが今日まで、たくさんの涙をこらえてがんばってきたことに対する、社会からの「いつもお疲れさま、ちょっと肩の荷を下ろしてね」というプレゼントなのですから。
🍀 今日の暮らしに役立つプチ情報
「手帳の申請はまだハードルが高いな」という方は、まずは『自立支援医療(精神通院医療)』という制度から調べてみるのもおすすめです。
これは、精神科や心療内科、薬局での窓口負担が、原則「3割」から「1割」に軽減される制度です。
手帳とは違って、初診から6ヶ月待つ必要はなく、通院を始めたばかりの方でも申請できます。毎月のお薬代や診察代が3分分の1になるだけで、お財布も心も、すっと軽くなりますよ。
気になる方は、次回の診察の際、お医者さんに「自立支援医療の制度を使いたいのですが…」と、ぽろっとこぼしてみてくださいね。先生や病院の受付スタッフさんが、優しく案内してくれます。
今日はおいしい温かい飲み物を飲んで、大好きなペットや、お気に入りのクッションをぎゅっと抱きしめて、どうか自分をたくさん褒めてあげてください。
あなたは、もう十分にがんばっています。
これからは、少しだけ周りを頼りながら、ゆっくり、ゆっくり歩んでいきましょうね。_