40代、自分の年金はいくら?――ねんきんネットを怖がらず見るための超やさしい読み方

40代になると、年金のことが少しずつ現実味を帯びてきます。

「私は将来、いくらもらえるんだろう」

「非正規だった時期があるけど大丈夫?」

「仕事を休んでいた時期はどうなっている?」

「少なかったら怖いから、見たくない」

そんな気持ちになることもあると思います。

でも、年金は見ないほうが安心できるものではありません。

むしろ、早めに現在地を知ったほうが、

「あと何年働く?」

「毎月いくら貯める?」

「NISAはいくらにする?」

「住居費をどうする?」

と、これからの対策を考えやすくなります。

日本年金機構の「ねんきんネット」では、自分の年金記録を確認したり、将来受け取る老齢年金の見込額を試算したりできます。スマートフォンやパソコンから24時間確認できます。

今回は、

「ねんきんネットを開いたけれど、何を見ればいいの?」

という人向けに、本当に見るところだけを順番に整理します。

まず知っておきたい。「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」は少し違う

毎年誕生月ごろに届く「ねんきん定期便」。

これも自分の年金を確認する大切な資料です。

ただし、40代で注意したいことがあります。

日本年金機構によると、50歳未満のねんきん定期便に表示される年金額は、これまでの加入実績に応じた金額です。一方、50歳以上になると、一定の条件で今後も加入を続けると仮定した見込額が表示されます。

ここ、かなり大切です。

40代で定期便を見て、

「え、こんなに少ないの?」

と驚く人がいます。

でも、それは必ずしも、

「65歳になったらこの金額しかもらえません」

という意味ではありません。

これまで積み上げた分を表示しているため、これから厚生年金や国民年金に加入する期間が増えれば、将来の年金額も変わります。

だから40代では、

定期便の数字だけを見て絶望しない。

まずこれを覚えておいてください。

ねんきんネットなら「このまま働いたら?」を試算できる

そこで役立つのが「ねんきんネット」です。

ねんきんネットには、年金見込額試算があります。

日本年金機構の「かんたん試算」では、現在と同じ条件で60歳まで年金制度に加入すると仮定し、将来の年金見込額を計算します。

普通の言葉にすると、

「今の働き方をこのまま60歳まで続けたら、だいたいどのくらいになりそう?」

を見る機能です。

これなら、40代の今から老後までの期間もある程度含めて考えられます。

さらに、より詳しい試算では、

今後の働き方。

収入。

年金を受け取り始める年齢。

などの条件を変えて試すこともできます。

つまり、年金は、

「もう決まってしまった数字」ではありません。

これからの働き方によって変わる部分があります。

ねんきんネットを開いたら、最初は3つだけ見る

画面にはいろいろな情報があります。

全部理解しようとすると疲れます。

なので最初は、

①年金記録

②加入期間

③年金見込額

この3つだけで十分です。

①「年金記録」――ちゃんと記録されている?

最初に見るのは、自分の加入記録です。

ねんきんネットでは、

国民年金。

厚生年金。

船員保険。

などの加入履歴や、月ごとの加入状況を確認できます。

国民年金の保険料納付状況や、厚生年金の標準報酬月額なども確認できます。

難しそうですが、

見る目的は一つです。

「働いていた時期や納付した時期が、ちゃんと記録されている?」

です。

たとえば、

「この会社で3年間働いていたのに、記録がおかしい気がする」

「国民年金を払っていたはずなのに空欄になっている」

と感じたら確認します。

ねんきんネットでは、特に確認してほしい月がある場合、アイコンなどで分かりやすく表示されます。

おかしいと思ったら、一人で判断せず年金事務所へ確認できます。

②「加入期間」――何年入ってきた?

次に見るのが加入期間です。

年金は、

20歳から60歳まで全部同じ働き方だった人ばかりではありません。

会社員。

派遣社員。

アルバイト。

自営業。

無職。

扶養。

病気で休職。

転職。

いろいろな期間があります。

だから、

「私は何年間、どの制度に入っていた?」

を見ることが大切です。

特に就職氷河期世代では、

非正規期間。

転職期間。

無職期間。

などがある人も少なくありません。

それを、

「ちゃんと働けなかった人生」

として見るのではなく、

「年金上はどう記録されている?」

という事実として確認します。

責めるための画面ではありません。

これから対策するための画面です。

③「年金見込額」――ここで初めて金額を見る

そして最後に、

年金見込額

を見ます。

いきなり最初にここを見ると、数字だけで怖くなりやすいので、私は最後でいいと思います。

ねんきんネットの「かんたん試算」なら、現在と同じ条件で60歳まで加入した場合の見込額を確認できます。

たとえば、

年額144万円。

と表示されたとします。

年額だと分かりにくい人は、12で割ります。

144万円 ÷ 12か月

なら、

月約12万円。

というイメージです。

細かい税金や保険料などを考える前に、

まず、

「年金だけなら、だいたい月このくらいなんだ」

と把握します。

それで十分です。

年金額を見たら「少ない!」で終わらせない

仮に、

月12万円。

だったとします。

その数字だけを見ると、

「生活できない」

と思うかもしれません。

でも、前の記事で最低生活費を出しました。

もし自分の老後生活費を、

月15万円くらい。

と考えるなら、

不足するのは、

月3万円くらい。

です。

ここまで小さくすると、問題の見え方が変わります。

「老後2000万円必要!」

ではなく、

「私は毎月3万円くらいの不足をどう補う?」

になります。

そこへ、

現金。

NISA。

少し働く収入。

などを組み合わせます。

年金を見る目的は、

落ち込むことではありません。

不足額を見つけること。

です。

免除や未納がある場合はどう見る?

年金記録を確認すると、

「免除」

「納付猶予」

「未納」

などの表示が出ることがあります。

ここは同じものではありません。

特に国民年金保険料の免除や納付猶予などについては、一定の条件で後から追納できる場合があります。

ねんきんネットでは、国民年金保険料などについて、追納可能な月数や金額を確認する機能もあります。

ただし、

「追納できる=必ず追納したほうが得」

と単純には言えません。

金額。

年齢。

現在の家計。

他の資産。

などによって考え方が変わります。

だから、

「追納できる期間がある」

と分かったら、まず情報を確認し、必要なら年金事務所などで相談します。

年金記録に空白があったら「自分の失敗」と決めない

ここも大切です。

年金記録を見て、

空白。

免除。

未納。

などがあると、

「ちゃんとしてこなかったからだ」

と思う人がいるかもしれません。

でも人生には、

失業。

病気。

収入減少。

家族の事情。

会社の倒産。

転職。

さまざまなことがあります。

特に就職氷河期を生きた世代には、不安定な雇用環境の影響を受けた人もいます。

だから記録は、

人生の成績表ではありません。

ただの現在地です。

現在地が分かったから、

これからどうするかを考えられます。

「今後の働き方」を変えて試算してみる

ねんきんネットの面白いところは、

未来を少し変えて試せるところです。

たとえば、

「今の働き方を60歳まで続けたら?」

「65歳まで働いたら?」

「受給開始を遅らせたら?」

など、条件を変えて比較できます。

これを使うと、

「あと5年働くとどのくらい違う?」

「今後厚生年金に入るとどうなる?」

といったことを考えられます。

つまり、

年金を見る=未来が確定する

ではありません。

むしろ、

「どの選択をすると、どう変わる?」を見る道具

です。

「年金を繰下げれば増える」だけで決めない

老齢年金には、受け取り開始を遅らせることで年金額を増やす仕組みもあります。

ただし、

「増えるなら遅らせたほうが絶対お得」

とは限りません。

健康状態。

仕事。

貯金。

生活費。

何歳まで働けるか。

によって違います。

だから40代の今は、

「何歳から受け取るか決める」

必要はありません。

まず、

選択肢があることを知る

だけで十分です。

障害年金や遺族年金とは別に考える

ここも混乱しやすいところです。

ねんきんネットの老齢年金見込額試算は、基本的に老齢基礎年金・老齢厚生年金についてのものです。

障害年金や遺族年金とは別の制度です。

そのため、現在障害年金を受け取っている人などは、

「今受け取っている年金額=将来の老齢年金見込額」

とは限りません。

年金の種類によって仕組みが違うため、個別の状況は年金事務所などで確認するのが確実です。

「ねんきんネット」が難しかったら、相談していい

画面を見ても、

「やっぱり分からない」

となることはあります。

それで大丈夫です。

日本年金機構では、年金見込額や年金記録について、年金事務所で予約相談を利用できます。電話相談窓口もあります。

つまり、

ねんきんネットを自分一人で完全に理解する必要はありません。

画面を見て、

「ここが分からない」

まで分かれば十分です。

その疑問を持って相談できます。

40代なら「年金を見る」だけでも十分な老後対策

老後準備というと、

NISA。

iDeCo。

投資。

保険。

貯金。

いろいろあります。

でも、

自分の公的年金を知らずに全部考えるのは難しいです。

だから40代なら、

まず一度、

自分の年金記録と見込額を見る。

それだけでも立派な老後対策です。

今すぐ投資額を増やさなくてもいい。

今すぐ老後資金を完成させなくてもいい。

まず、

「私はここにいる」

を知る。

そこから、

生活防衛資金。

NISA。

働き方。

住まい。

老後生活費。

を組み合わせます。

今日やるなら「かんたん試算」まででいい

この記事を読んで、

「ねんきんネットを見てみようかな」

と思ったら、今日は全部確認しなくても大丈夫です。

まずログイン。

そして、

「年金見込額を試算する」

を開く。

「かんたん試算」を見る。

ここまで。

金額をスマートフォンのメモに、

「老齢年金見込額 年○万円」

と書く。

余裕があれば、

12で割って、

「月だいたい○万円」

と書く。

それだけで今日の作業は終わりです。

まとめ|年金額は「怖い答え」ではなく「これからを考える材料」

40代になると、

自分の年金額を見るのが怖くなることがあります。

少なかったらどうしよう。

加入期間が足りなかったら。

若いころもっと払っていれば。

そんな気持ちが出るかもしれません。

でも、

年金記録は過去の自分を採点するものではありません。

これからの生活を考えるための材料です。

まず記録を見る。

加入期間を見る。

見込額を見る。

そして、

「月いくらくらい?」

に直す。

最低生活費と比べる。

不足があれば、

現金。

投資。

今後の働き方。

などで少しずつ補う。

それでいいのです。

老後のお金を、一日で完成させる必要はありません。

40代なら、まだ考える時間があります。

まず自分の数字を知る。

怖かったものに、名前と数字をつける。

すると、

「老後が怖い」から、「私はここを準備すればいい」へ変わります。

その一歩が、

ねんきんネットを開いてみること。

完璧に理解できなくても大丈夫です。

未来を怖がるためではなく、

未来を選べるようにするために見る。

これからを、わたしから。